発売直後から話題沸騰の『ニュータイプの時代――新時代を生き抜く24の思考・行動様式』の刊行を記念して、著者の山口周氏と、『アフター・デジタル』等のベストセラーを多数もつ、IT批評家の尾原和啓氏との対談イベントが実現。時代の切り替わりとともに、オールドタイプは没落し、ニュータイプは躍進する。では、新しい時代に活躍できるニュータイプとはどんな人なのか? 失われたノイズ、五感、官能を求める新しい価値観とは?(構成:山田マユミ)
※対談記事1はこちら、対談記事2はこちら

本当は値段が高くてもいいから
「意味がある」ものを欲しい

山口周(やまぐち・しゅう)
1970年東京都生まれ。独立研究者、著作家、パブリックスピーカー。ライプニッツ代表
慶應義塾大学文学部哲学科、同大学院文学研究科修了。電通、ボストン コンサルティング グループ等で戦略策定、文化政策、組織開発などに従事。著書に『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』『劣化するオッサン社会の処方箋』『知的戦闘力を高める 独学の技法』『武器になる哲学』など多数。神奈川県葉山町に在住。

尾原:「ニュータイプの時代」が始まったと感じられる、象徴的なことはありますか?
 
山口:一つの事例として、バルミューダが挙げられるでしょう。バルミューダはこの10年で売上が1000%伸びている、まさにニュータイプの会社です。

 彼らは「役に立つ」マーケットで戦っておらず、初めから「意味」で戦っています。成熟産業で各企業が過当競争していたところに、2万5000円のトースターを出して、売上を伸ばしています(「役に立つ」「意味がある」については対談記事2を参照)。

尾原:「役に立つ」競争に関してはもうお腹いっぱいで、本当は高くてもいいから「意味がある」ものが欲しいんだと、ニュータイプは思い始めているんですよね。

 例えば日本出身で世界にリスペクトされているデザイナーとして川久保玲さん、イッセイミヤケさん、ヨウジヤマモトさんが挙げられますが、彼らの服は機能的ではないものの、好きな人はすごく好き。

 落合陽一さんなんて、ヨウジヤマモトの服以外は着ないという入れ込みようですよね。彼らが出てきたのは1970年代で、その後、日本のファッション業界は成熟し、面白いストリートデザイナーがどんどん出てきました。

 ただ、グローバルでリスペクトされるデザイナーとなると、あの世代が最後。彼らは世界のマーケットに対して「意味がある」ものとして飛び出していきました。