地元にある上場企業の数や規模は
県民所得の多寡と関係があるのか?

連載第10回の冒頭で、「筆者の好きなテレビ番組の1つに『秘密のケンミンSHOW』がある」とコメントしたが、連載第12回は、第10回と少し違った切り口で、県内に本社を置く上場企業の数や規模などと、県民所得との関係を探ってみたい。

 規模が大きい上場企業を多く抱える自治体は、地域経済が潤っている可能性が高い。そうした県に住んで働けば、他の地域で働くよりも収入が多くなり、豊かな暮らしを送れるかもしれない――。こうした「定説」はすごくわかりやすいが、実際のところ本当なのか。それを調査するのが今回の目的である。

 自治体別の豊かさを測る指標は色々あるが、今回は内閣府が発表している「県民経済計算」から導かれる都道府県別の「1人あたり県民所得」に着目する。そして、「1人あたり県民所得」が同程度の県をいくつかピックアップし、そこに本社を置く上場企業の業績を比較してみる。

 第10、11回と同様、どの自治体に本社を置く会社に就職すれば、より所得が大きくなるのか? といった直接的な話にはならないが、地方での就職を考えている向きは、就活時の参考資料の1つにしてもらえればと思う。

 都道府県別の企業規模と業績を見るための基となるデータは、これまでと同様、「ダイヤモンドD-VISIONシリーズデータベースサービス 役員・管理職情報ファイル」である。ただし、これだけでは県民所得に関するデータが得られないので、どの県を比較の対象とするかを決めるため、内閣府発表の資料を活用した。

 早速だが、1人あたりの県民所得を見てみよう。グラフ1は、2009年度の「1人あたり県民所得順位」である。