実は筆者もこのクチで、電車移動時にはできるだけ読書をしていたい。知り合いの本物の読書家は電子書籍を活用しているそうで、それを聞くと自分は実に似非なのだなと項垂れるのだが、やはり紙の本が持つファッション性は捨てがたいものがある。

 スマホが普及してから電車で読書をしている人がめっきり減ったので、今この時代にこそ「電車で読書」は特別感があり、これに勤しんでいる自分が気持ちいいのである。なおこれは、もちろんただの個人的な意見であり、「電車で読書」をする人たちの声を代弁するものではないことを知っておいていただきたい。

 電車通勤をエクササイズに活用している人もいる。

「『体をいかにうまく脱力させるか』というのがコンセプトのシステマという武術を趣味でやっている。身体のどこかに力が入っている部分があるとダメージを与えにくく、またダメージを受けやすいというのが基本的な考え方。

 電車の揺れが脱力の練習にいいと気づいてから、釣り革につかまらず、立って一歩もよろけないようトレーニングするようにした。例えば脚に思いっきり力を入れてまっすぐピンと立っていると少しの揺れでもよろけてしまうが、できるだけ力を抜いて揺れを膝から上半身に波のように伝えて逃がしてやるとよろけなくて済む。

 傍から見るとただゆらゆらしているだけの不審なおじさんかもしれないが、通勤時間を有効に使えるのはいい」(Dさん・40歳男性)

 この人は自分をある程度、客観視できているようなのでこれ以上は言及しないが、電車内でのエクササイズは不審に思われる可能性があるので注意されたい。学生時代に剣道をやっていたEさん(38歳男性)は、当時車内で常につま先立ちをキープする努力をしていたそうである。

 このように電車内の過ごし方の可能性は無限であるが、いわずもがな公共の場であるので、周りに迷惑をかけない程度の節度は最低限持ち合わせていたい。

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