>>(上)より続く

定期券を活用する生活巧者
定期券内は“俺の庭”

 定期券で通勤する人は主に自宅と職場の最寄り駅で乗降することになるが、当然、定期券内にある駅での乗降も自由自在である。

「乗り換えのターミナル駅で無理やり用事を作って降りるようにしている。定期券がないとできないことなので得した気分」(Fさん・36歳男性)

 これは大なり小なりやっている人が多いかもしれない。得てして乗り換えの駅たるものは栄えていて何かと便利であり、駅周辺で大概の用事が済んでしまうこともある。乗換駅での下車は定期券特権であり、1回に付きたかだか乗車賃数百円の恩恵にすぎないかもしれないが、これが心にもたらす満足感は大きい。

「定期券内で、駅構内に食事処があれば必ずチェックするのが趣味といえば趣味。気に入ったところが見つかればその何店舗かを回るのをルーティンにしたり。飽きてたまに定期券外に足を延ばすこともある」(Dさん)

 これも定期券の恩恵を貪欲に謳歌しようとしているケース。通勤を自宅と職場の往復だけにとどめることなく、このように途中下車駅をうまく活用することで、通勤にやや彩りを添えることができよう。

心の在り方が試される通勤
魂の静かな闘い

 通勤時に心をどのように保つか。意識的に保持しようとする心持ちが何かしらあるなら、それはその人が「○○な自分でありたい」を志向していると換言できる。すなわち通勤はその人を映す鏡である。

「昔からのクセだが、通勤中は特に家を出た瞬間から背筋を伸ばすように心がけている。背中が丸まっていると悪い運気が溜まってしまう気がするので。

 業務時間中は忙しくて姿勢を意識する余裕があまりないので、せめて通勤時だけでも」(Eさん)