この選挙の結果は、N国党が全国の自治体に新たに26の議席を獲得するという大躍進を示しただけではありませんでした。たとえば泡沫候補として全国的に有名なスマイル党首のマック赤坂氏は、東京都港区議会に議席を獲得しました。他にも中革派の活動家として知られる洞口朋子さんなど、これまでの選挙であれば落選するはずのマイナーな候補たちが議席を獲得しているのです。

 そして、マイナーな主張が有権者の支持を得てメジャー化するこうした動きは、日本だけではなくアメリカでもイギリスでも韓国でも、すでに現実のものとなっています。アメリカでは、従来のエスタブリッシュメントからではなく、大衆が支持するドナルド・トランプ氏が大統領に選ばれましたし、お隣の韓国の文在寅大統領も、大衆の支持にその政治基盤を持っています。

 ポピュリズムというと通常は悪い言葉に捉えられがちな政治用語ですが、その本質が大衆に多数支持されていることにあるという点は非常に重要です。大衆が実現してほしいと思う言葉を口にする候補だから、一定数の支持を得られるのです。

トランプやブレグジットにも通じる
「置いて行かれた人々」の受け皿

 では、なぜポピュリズムが令和の時代に力を持つのでしょうか。それは平成の時代を通じて日本でも、そして世界でも格差が広がり、成長から置いていかれた国民層が多数派になってきたことが背景にあります。一部の富裕層に富が集中するというグローバルで起きた現象の結果、人数的には暮らしが悪くなった層が多数派になり、その中で支配者層に不満を持つ国民の人数が現状支持者の人数を上回る、そんな時代になったのです。

 そして政治的な主張でいえば、与党だけではなく野党第一党も、議会だけでなく官庁や地方自治体といった現実的な政治世界に基盤を置いています。よって、格差社会に置いていかれた大衆の側に100%寄り添うことはなかなか難しい。「既存の有力政治家はリップサービス以上のことはしてくれない」と、国民が思い始めているのです。

 そのため、国民の不満に正面から向き合える主張をする新しいタイプの政治家には、一定数の支持者が集まってくる。そうした新しい現象が起き始めています。特に、議席ではなく主張が国民投票で問われたイギリスのEU離脱議論では、逆転が起きました。ポピュリズムが代表者ではなく政治の論点で得票を争えば、その主張が過半数を超えることは現実的に起き得るわけです。