金融・財政政策で相殺
中国の成長率低下は0.1%にとどまる

 中国も政策で経済を支えてきた。年初からこれまで講じてきた景気刺激策はこれから効果が表れる。

 これまで成長の頭を押さえていた債務抑制策を緩和し、地方政府に地方債を増発させ、インフラ投資を増やしている。対策効果と相殺で「関税が10%に引き上げられたとしても年率でマイナス0.1%程度の減速ですむ」(関辰一・日本総合研究所主任研究員)とみられる。4~6月期のGDP成長率は前年同期比6.2%。3月の全国人民代表大会で示された経済成長率目標の下限である6%を割ることはないだろう。

 世界の株価が落ち着きを取り戻しあるのも、10%への引き上げで米中両国の経済失速はないとみたからだろう。

 経済が失速することなく、持ちこたえられるとなれば、両国とも譲歩する理由はない。互いに譲ることなく対立が続くだろう。市場が懸念する、3000億ドル分の中国からの輸入品への10%から25%への関税引き上げの公算は十分にある。

 引き上げは中国経済には「年率1%前後の成長率押し下げ圧力となる」(三尾幸吉郎・ニッセイ基礎研究所上席研究員)見通しだ。米国も、「2020年に個人消費の減速は避けられない」(小野亮・みずほ総合研究所主席エコノミスト)。

 ただ、この場合も米国はさらなる利下げ、中国は追加の金融緩和とインフラ投資などで経済を支え、失速は回避するだろう。

 とはいえ、金融緩和、追加財政は、米中両国ともに公的部門、民間部門の債務を増大させ、将来の景気後退時の金融不安の可能性を高める。米国では、CLO(ローン担保証券)の値下がりにつながる可能性もある。米中どちらかが、債務の重みに耐えきれなくなるまで、関税引き上げ、報復合戦のチキンレースは続く。