他国の税制まで知り尽くす敏腕コンサルタント

 もうひとつ、私の知り合いの事例を紹介しましょう。アジアで活躍する、あるコンサルタントの例です。

 彼はアジアに進出する企業向けにさまざまなサービスを提供するコンサルタント。彼と仕事をするたびにいつも驚かされるのは、その仕事のスピードの速さです。

 ビジネス上で何か課題が浮上したとき、それが自分の出身国に関する問題なら、スピーディーに対応できるのは理解できます。しかし彼は違います。自分とは縁もゆかりもない他国に関する問題であっても、彼はまたたく間に解決策を考えつくのです。

 たとえば、アジアのA国に投資したいと思っている企業があるとします。普通の頭で考えれば、「自社が本拠を置くB国からA国に投資する」という発想になるでしょう。ところが彼にかかると、ものの数分で「税務的なことを考慮すると、C国経由でA国に投資したほうが現状の案より数千万円得をする」というアイデアが出てきます。

 そればかりか、実務的にはどこがポイントで、具体的に誰と交渉すればよいかまで示してしまう手際のよさ。多忙な日々の業務の合間のいったいいつ、そんな他国の税制を調べているのかと舌を巻くことしきりです。しかも、彼はこうしたオファーを成功報酬で提示するため、クライアントからは非常に重宝され、順調に業績を伸ばしています。