生活設計について、
「その日暮らし」にあてはまらないとの回答比率

生活設計について、「その日暮らし」にあてはまらないとの回答比率
出所:金融広報中央委員会「金融リテラシー調査2019年」の結果

 アベノミクスの下、実質家計消費の伸びは2018年度までの6年間で2.1%でしかないが、この背景には日本の成長力が弱く、社会保障制度の将来像が示されず、将来不安が拭えないことがある。それには、金融リテラシーの不足も影響していると思われる。

 金融リテラシーというと、金融資産の運用に関わる知識に関心が集まりがちだが、生活設計や家計管理の部分が非常に大事だ。老後資金として2000万円不足との報道に国民が不安を募らせた理由の一つに、生活設計ができておらず、試算値と自分の問題を切り離して捉えられなかったことがある。

 金融広報中央委員会の金融リテラシー調査によると、生活設計について「その日暮らしではない」との回答は半分強でしかない。個々人が安定的に消費できることが望ましいが、その日暮らしではかなわない。将来にわたり消費を増大・安定化させるべく、自分自身で収入・支出に向き合い、大まかでもライフプランを描けるようになれば、漠然とした将来不安は多少なりとも減少するだろう。

 そのためには小学校からの継続的な金融教育が重要だ。現状は「学校や勤務先において、生活設計や家計管理についての授業などの金融教育を受ける機会がなかった」との回答が75%もある。50代で定年退職後の資金計画の策定をしていないのが65.4%に上る。また資産運用についてもリスク性資産を購入したことがあるとの回答は20~30%程度で、そのうちそれらの商品性を理解しないまま購入したのも20~30%だ。

 金融リテラシーの必要性は以前から指摘され、努力もなされてきたが、3年前の調査からほとんど改善が見られず、国民全体の金融リテラシーの底上げのため、より積極的な対策が急務だ。金融庁による投資環境の整備が図られつつある中、このままでは金融リテラシーの格差が収入・生活水準の格差をより拡大しかねない。

 小学校からの金融教育ということでは文部科学省がその重要性を十分理解することが重要だ。また、金融庁や金融教育を実施している機関との連携強化が望まれる。

(キヤノングローバル戦略研究所特別顧問 須田美矢子)