セブンペイ終了後も、同じIDとパスワードを用いたインターネット通販サイト「オムニセブン」や、クーポンがたまる「セブンアプリ」はサービスを続ける。セブン側は、IDとパスワードを初期化したことなどから、「セブンペイ以外のサービスはセキュリティー上の問題はない」と主張。これらのサービスに登録された個人情報の「明確な漏洩の痕跡は認められない」との見解を示した。

 しかし、国際大学GLOCOM客員研究員の楠正憲氏は、「調査報告書がセキュリティーを理由に公表できないということは、まだ欠陥が残った状態だと思われても仕方がない」と指摘。個人情報についても、「従来使われていたIDが攻撃対象となっており、オムニセブンから相応の流出が起きているのではないか」との見方を示す。

社内ノウハウ得られず欠陥だらけで実用化
コンビニ事業も逆風に

ファミリーマートPhoto by S.O.

 なぜ、ここまで欠陥だらけのセブンペイが実用化されたのか。

 運営会社のセブン・ペイには、ファミリーマートのキャッシュレス決済サービス「ファミペイ」が始まる7月に間に合わせなければという焦りがあった。加えて、決済関連のノウハウを有するセブン銀行や電子マネー「nanaco」の担当部署から、十分な協力が得られなかった。さらに、システム構築を請け負ったITベンダーが複数社にまたがっており、責任を持って全体最適の実現を目指す体制でなかったことも影響した。

 セブンでは、グループの屋台骨である国内コンビニ事業において今年2月、本部と加盟店との対立が表面化。24時間営業や粗利の分配を巡る不公平さが強い批判を浴び、経産省や公正取引委員会が是正に乗り出している。

 こちらを取り仕切るSEJの関係者に言わせれば、セブンペイ問題は、「あれは、HDがやったこと」と、ひとごとの姿勢だ。

 セブンペイの火の粉を払おうとするSEJ内部では、24時間営業を巡る社内の足の引っ張り合いが目下の関心事だ。永松文彦社長は、希望する加盟店に時短営業を認めるとアナウンス。それにもかかわらず、時短営業を阻止しようと加盟店に圧力をかける本部社員の動きを上層部が抑え切れない。

 このように、結束力が武器だったはずのグループ内は、そこかしこで反目、分裂の様相を呈しており、収拾がつかない。鈴木敏文HD名誉顧問の会長時代は、良くも悪くも持ち前の“徹底力”でグループをけん引していた。だが井阪隆一HD社長の体制となってからは、グループや加盟店に従来たまっていた不満や不均衡が一気に噴き出しているように見える。

 不振の百貨店や総合スーパー事業のリストラも焦眉の急だが、「腹をくくって改革を進められる人物が、今のセブン経営陣にはいない。その後継となり得る人材も見当たらない」(ある小売り大手幹部)。

 国内コンビニ事業で盤石のシェアを築き、グループ売上高12兆円と「セブン帝国」と呼ばれる巨大企業に成長したセブン&アイ・HD。噴出する諸問題への後手に回る対応は、グループの強固な結束力の崩壊の予兆を感じさせる。