中学受験熱がひときわ高い「大崎地区」
中学受験への備えは、一般には塾通いが始まる小学校4年生からといわれる。
しかし、熱心な家庭の本当の備えは、小学校の選択時から始まっている。どこの小学校に入るか。学区選びである。
東京23区では平均すると22.6%、およそ4人に1人が私立中学に進学する。これはあくまでも平均であって、4割を超える区もあれば1割台の区もある。
8月22日発売の「週刊ダイヤモンド別冊」では、特集「人気学区と文教地区」で、首都圏・関西圏・名古屋の人気公立小学校区について取り上げている。人気のある小学校区は、需要が供給を上回る傾向があり、不動産価値が下がりにくい。進学志向の強い家庭にとっては充実した教育環境を得ることができる、ということで学区に注目した。
今回、その例として品川区を見てみたい。
品川といわれて一般の人がイメージするのはJR東海道線「品川」駅であり、東海道の宿場町であろう。この「品川」駅は港区にあり、「目黒」駅は品川区にあるというのは鉄道好きの定番ネタでもある。
区役所の職員によると、品川区は23区の中位的な存在なのだという。人口は40万人で10位、面積は22.8平方キロメートルでやはり10位。人口増加率(2007年と16年の比較)は8.7%増で9位、といった具合だ。
では、中学受験はどうか。私立中学進学者率は31.7%で、8位である。だいたい同じような立ち位置であるが、少し順位が上がっている。内情を見ると、区内のエリアによる濃淡差が大きい。
品川区は、品川、大崎、大井、荏原(えばら)、八潮(やしお)という5つの地区に分けられる。その中では、圧倒的に区内東部、港区と接する大崎地区の受験熱が高い。ここには高級住宅地の代名詞で、実際に豪邸が立ち並ぶ「城南五山」のうち、港区に属する八ツ山を除く4つの山(花房山、池田山、島津山、御殿山)と長者丸がある。