定年後引きこもらないために
会社にいる間から心がけるべきこと

 そんな大企業に勤める男性が最も強くアウェイ感を感じるのは、定年退職した時だ。それまでの地位も立場も何もなくなってしまい、1人の高齢者になるということは、それまで考えていた以上に落差が大きい。

 もちろんそうなったらそれなりの振る舞い方があるのだが、長年大企業にいて、しかも管理職だったなどという人には、なかなかこれができない。そもそも「アウェイで戦う」=新しい組織に入っていく時の作法というものは、まず腰を低くし、相手の話を聞いてあげることが何よりも大切だ。何度か転職をした経験のある人なら、それは十分承知しているだろう。ところが、そういうことを理解しないまま、地域の活動に入り込んで、地元の人とぎくしゃくしたり、趣味の集まりでつい上から目線でしゃべったり、ということもありがちな話だ。

 しかしながらどんな組織にいても、いつかはそこを出ていかなければならない。仮に会社を辞めた後、地域のコミュニティで活動するにせよ、六十の手習いで新しい趣味に取り組むにせよ、それまでの環境とはまったく異なる立場や環境で活動することになる。つまり誰しもいつかはアウェイの立場になることは避けられないのだ。

 それならば、現役の間、ずっと社内にどっぷりと漬かるのではなく、社外の人たちとの交流を積極的にしたほうが良い。

 筆者は定年後にずっと再雇用で会社に残ることはせず、新たなアウェイの世界で戦ってきたが、確かに、すべてのリスクを自分で負わなければならない緊張感はサラリーマン時代とは比べ物にならない。しかしながら、これはこれで新鮮な刺激と楽しみを得ることができてなかなか面白いものである。定年まで何もしないのではなく、なるべく早い時期から、地位や立場を離れて会社の外の人たちと付き合うという体験をすることが大事ではないだろうか。