金相場「最高値5594ドル」後は急落も底堅く推移、次の焦点はイラン情勢とドル安Photo:PIXTA

金相場は2026年1月末に史上最高値を付けた後、急落を挟みながらも高水準で推移している。背景には、米利下げ観測、ドルの信認低下、ベネズエラやイランを巡る地政学リスクの高まりがある。急騰後の反動安はあったものの、安全資産需要は根強く、当面は高値圏で不安定な値動きが続きそうだ。(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員 芥田知至)

25年12月後半はベネズエラ情勢の
緊迫化などが押し上げ材料

 金相場(現物、出所:LSEG)は、1月29日に1トロイオンス当たり5594.82ドルと史上最高値を記録後、一時4400ドル近くまで下落したものの、足元は5100ドル前後を中心に推移している。

 2025年11月中旬以降の金相場を振り返ると、11月14日は、前日から米各地区連邦準備銀行の総裁による追加利下げに否定的な発言が相次いで、金の投資先としての相対的な魅力が後退し、金の下落幅はやや大きくなった。

 しかし、24日は米利下げ観測から上昇した。前週末にニューヨーク連銀のウイリアムズ総裁が、雇用の下方リスク増大とインフレ上昇リスクの後退を踏まえて追加利下げへの支持を示唆し、この日はFRB(米連邦準備制度理事会)のウォラー理事が改めて12月の利下げを支持する発言を行った。

 12月11日は、前日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、市場予想通りに0.25%の利下げが決定され、先行きも緩やかな利下げ見通しが示されドル安が進んだことなどから金は上昇幅がやや大きくなった。

 22日は、20日に米沿岸警備隊がベネズエラ沖で石油タンカーを拿捕(だほ)したとの発表を受けて、地政学リスク懸念が強まり、金は史上最高値を更新し、4400ドル台半ばまで上昇した。

 26日は、米政権がベネズエラへの圧力をさらに強め、米軍がナイジェリアで同国政府と連携して過激派組織「イスラム国」の拠点を空爆したことで地政学リスク懸念が高まった。トランプ米大統領が次期FRB議長に対して「市場が好調な場合でも政策金利引き下げを望む」としたことも強気材料視された。

 29日は、28日にトランプ大統領がウクライナのゼレンスキー大統領との会談後に和平協議に「大きな進展があった」と述べて地政学リスク懸念が後退したことや利益確定売りで、金の急落につながった。

 次ページでは、年明け以降の金相場の動きを検証し、イラン情勢など不確定要素が多い中での先行きを予測する。