さらに、de la Iglesia氏によれば、低所得層の家庭の子どもが多く通う高校では、生徒の出席率が向上し、遅刻率が低下したという。この研究結果について、同氏は「生物学的にみれば予測通りの結果ではあったが、それでもうれしい驚きだった」と述べている。
この実験に参加した高校の教師たちも、始業時間を遅らせることに賛成している。ルーズベルト高校の教師であるCynthia Jatul氏は「始業時間を変更した後は、午前中でも生徒たちの意識がはっきりとしていて、授業にも積極的に取り組むようになったと感じた。1時間目に居眠りをしている生徒もかなり減った」と振り返る。Jatul氏の同僚のTracy Landboe氏も「私の生徒たちも集中力やエネルギーが劇的に高まった」としている。
その効果は学校生活以外にも及んでいた。Jatul氏の元には、子どもの気分が改善し、家族関係にも良い影響があったという声が、生徒の親から寄せられているという。
この結果について、専門家の一人で米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院の睡眠・概日リズム障害部門のMatthew Weaver氏は「睡眠を客観的にモニタリングして厳密に検討した結果、始業時間の変更に意義のある有益性が示された」と説明している。また、「学校の始業時間を遅らせると、子どもたちが必要な睡眠時間を確保しやすくなること、十分な睡眠を取れば成長や発達が促され、精神衛生や学習能力、記憶力が向上することには科学的根拠があるといえる」と述べている。(HealthDay News 2018年12月12日)
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