しかし、この文案によっても、行動履歴等を分析・集計した個人データに「内定辞退率」とのラベルが貼られて利用企業等に提供されることまでは想起できないため、プライバシーポリシーの明確性については問題とならなかったとしても、「内定辞退率」とのラベルが貼られて個人データが利用企業等に提供されるビジネスモデルになお批判が集まった可能性は否定できません。

2.「内定辞退率」を選考に利用しない条件で有償提供するという契約に無理があった

――リクルートキャリアは8月1日のリリースにおいて「学生の応募意思を尊重し、合否の判定には当該データを活用しないことを企業に参画同意書として確約いただいています」としています。しかしクライアント企業が当該データを合否の判定に用いていないかは確認が難しいことから、合否判定に利用された懸念があるとする声もあります。当該データの用途の取り決め方法については適切だったのでしょうか。

 たしかにリクナビ2020のプライバシーポリシー上、企業に提供した内定辞退率(ユーザー行動履歴等の分析・集計結果)については「選考に利用されることはありません」と記載されています。またリクルートキャリアの8月1日付プレスリリースによれば「提供された情報を合否の判定に活用しないことにご同意いただいた企業にのみ、本サービスをご提供してきました」「ご利用いただいている企業には当社から定期的に利用状況の確認をさせていただいております」とも記載されています。

 しかし、たとえこれらの運用が十分に行われていたとしても、「リクナビDMPフォロー」を導入する各企業側とすれば、内定辞退率データを選考に利用したい動機があることは否めず、各企業が実際に選考に利用していなかったかどうかも不明です。

 契約の取り決め方法としては、リクルートキャリアからの利用状況の確認にとどまらず、リクルートキャリアから各企業に対する立入調査条項を含めることも考えられますが、自社の顧客である各企業に対する調査権限を認めるような条項を定めることは非現実的といえます。企業が選考に利用したいと考える価値があるデータを、選考に利用しない条件で有償で提供するという契約内容自体にそもそも無理があったといえるかもしれません。

――サービスを利用するために、ユーザー本人が望まない個人情報の利用に同意せざるを得ないケースもあるのではないかと懸念されます。「本人の同意」に加え、データ利活用時代における、個人情報を提供する側、利用する企業側双方が納得できる仕組みについてはどのように考えますか。