双子の赤字膨らみ、ペソ安圧力に拍車

 昨年春以降に資金流出圧力が強まった背景には、マクリ政権は財政健全化に向けて財政赤字のGDP比を毎年1%ずつ圧縮する方針を示してきたにもかかわらず、景気減速や租税特赦などの影響で財政赤字目標の実現が難しくなったことに加え、国際原油市況の底入れによる輸入代金増加などを反映して経常赤字のGDP比が拡大するなど、財政赤字と経常赤字の「双子の赤字」が膨らみ顕在化したことがある。

 フェルナンデス前政権下では物価統計が意図的に改ざんされていたために表面的なインフレ率は低水準に抑えられる一方、実勢を測ることが極めて難しい状況が続いてきた。マクリ政権は新たな基準に基づく物価統計を整備し、実際のインフレ率は中銀の定める目標を大きく上回ることが確認された。

 通貨ペソ相場は2015年末に変動相場制に移行し、対ドルレートはそれまで実勢に比べて過大評価されてきたこともあり緩やかに下落してきた。結果として「双子の赤字」と高インフレの共存という経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)の脆弱さが露呈したことも相まって、ペソ安圧力に拍車が掛かった。