謝罪するリクルートキャリアの小林大三社長(左)ら個人情報の取り扱いがまずかったことは反省すべきだが、このサービス自体の存在価値は、正当に評価されてもいいのではないだろうか Photo:JIJI

リクルートキャリアが内定辞退率予測データを発売するも、一転してサービスを廃止した。個人情報保護の観点から深刻な問題があることは間違いないが、このサービスは、採用における悪しき温床を解決する橋頭保であると思えてならない。(モチベーションファクター代表取締役 山口 博)

リクナビ「内定辞退率予測」で
もっとも問題なポイントは?

 就職支援サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが、就職活動する学生の内定辞退率を予測したデータを企業向けに販売するも、学生の個人情報保護の取り扱いが十分でないことが判明、一転して、サービスを廃止した。

 サイトの閲覧状況など自分の就職活動データが企業に提供され、個別の内定辞退率として提供されることに対して、8000人余りの学生からの同意確認が不十分だったからだ。

 同社はリクナビ登録者80万人の学生に謝罪メールを発信、学生が自分のデータを企業に提供されたかどうかを調べるインターネットサイトのリンクを提供するというが、自分の内定辞退率がどのように予測されたかは知ることができないという。

 このデータを購入した38社も、連日のように社名がさらされ、あるいは、自ら購入したと発表し、異口同音に「データは削除済み」「合否判定には使っていない」と説明している。

 この内定辞退率予測データ問題は、もっぱら個人情報保護の観点からのみ取り沙汰されている。もちろん、この観点から極めて深刻な問題なのだが、それ以上に、採用における悪しき温床の観点から取り上げられなければならないと思う。

 悪しき温床とは、採用において、十年一日のごとく行われている、学生と企業の「キツネとタヌキの化かし合い」のことだ。