だが、鈴木修会長も来年2020年1月末で90歳を迎える。加えてスズキは、来年で創立100周年という大きな区切りの年になる。スズキといえば「鈴木修」という名経営者が代名詞だったし、後継者にも苦労した経緯もあるが、創業家にとって初めての男子である修会長の長男、鈴木俊宏社長への社長交代からすでに4年が経過した。スズキ生き残りと“ポスト修”の区切りがトヨタとの資本提携に踏み込んだ大きな理由であり、このタイミングであったのだ。

トヨタがスズキと資本提携する
メリットは何か?

 一方、トヨタにとってスズキとの資本提携は何がプラスになるのか。

 言うまでもなく、トヨタは売上高30兆円、純利益2兆1500億円と世界を代表する自動車メーカーとしての位置づけを確立しているが、近年の「自動車大変革時代」での「自動車メーカーからモビリティカンパニーへの変身」(豊田章男社長)に向けて危機感を強めている。

 というのも、新世代技術「CASE」や新世代移動システム「MaaS」を進める中で、ビジネスもライバルも大きく変わろうとしているからだ。これにより、トヨタは「仲間づくり」を積極的に進めることで大きな枠の中で協業と競争の両面に力を入れている。すでに、ダイハツの完全子会社化や日野の連結子会社化、スバル・マツダとの資本提携に加えて今回のスズキとの資本提携で、トヨタグループの日本車メーカー・ブランドは6社となる。

 スズキとの資本提携によるトヨタのメリットは、やはりインド市場におけるトヨタブランドの底上げであろう。インドは、いずれ現在の世界最大の自動車市場である中国をしのぐ市場を形成していくとの見方もある。

 だが、世界の自動車メーカーがここへきて一気に進出して、競争が激しい市場となっている。最近では、米GMがインドから撤退するなどスズキの牙城を崩せない中で、スズキとの協業はトヨタにとって大きなプラスとなるのだ。

 スズキがインドで培った生産・販売力にトヨタが開発・生産・販売で協業することで得られる妙味は大きいものがある。スズキは、インドの生産拠点を近い将来、未開の自動車市場といわれるアフリカへの供給基地にすることをもくろんでおり、トヨタが豊田通商を通じてアフリカ市場への積極進出を狙っている点も合致する。