他の主要国と同様、日本でも長期金利(10年国債金利など)が急落している。その結果、長短金利差が逆転し、それが日本の景気後退を示唆しているとの解釈を耳にすることも増えた。
そうした解釈は現時点では行き過ぎだろう。とはいえ、一方で、長期金利の水準を決める1つである潜在成長率は、この20年間、ほとんど変わっていない。
ポール・クルーグマン教授が使った表現に倣えば、日本経済は、“perspiration”(発汗=労働投入)ではなく、“inspiration”(感性=技術革新)で潜在成長率を高めることが求められている。
長期金利の急低下
自然利子率との“乖離”の要因は
10年国債金利の急速な低下を解釈する上では、その変動要因を抽出することが必要だ。そこで以下の4段階で考えてみよう。