中国「一帯一路」の要所・西安で見た、めまいを覚える進化ぶり
乱立するハイテクノロジー・パークの1つに過ぎない印象があった西安に、なぜ注目が注がれ始めたのか Photo:123RF

シルクロードの起点・西安
立ち遅れた地域と思われがちだが…

 シルクロードの起点として知られる町・西安に来ている。台風15号が東京を直撃したその日の飛行機で西安に駆けつけてきたのは、欧亜論壇の分科会となる第7回シルクロード経済帯都市円卓会議に参加するためだった。

 西安とは、やや複雑な関係で結ばれている。観光などで訪問したのを除いて、1900年代末頃から2004年にかけて、私はすでに数回に分けて西安を視察している。

 悠久の歴史が醸し出すロマン、シルクロードという言葉に凝縮された異国情緒が漂う古都西安は、日本でも名高い地だが、西安を省都とする陝西省に対しては、ほとんどの日本人は、内陸部の奥地にある立ち遅れた貧困地と思いがちだ。

 しかし、実は西北地区の5つの省・自治区のなかで人口が最も多く、人口密度も最も高い。特に域内総生産(GNP)は最も大きく、経済発展水準も同地区の他の省・自治区より高い。

 観光業、リンゴ栽培業のほかに、ハイテク産業、軍需産業も重点的に発展してきた地方でもある。運搬ロケットの開発・製造、宇宙開発にかかわる、軍需産業をはじめとする大規模な国有企業が同省に集中している。軍用機などを製造する西安飛行機工業グループ(西飛集団)が、その代表的な存在である。「中国最大の軍需産業基地」ともいわれるほど、同省の存在感は大きかった。

 特に、省都・西安市は西北地区で最大の工業都市であり、全国的に見てもその地位は無視できない。大学の数も西北地区で一番多い。西安交通大学、航空と宇宙飛行分野に研究の重点を置く西北工業大学、クローン技術に象徴されるバイオテクノロジーなどの研究に力を入れる西北農業大学など名門校もある。

 1980年代後半から、衛星の地球局とレーダー、カラーテレビ用のブラウン管、テレビなどを製造する新興技術集約型の産業が頭角をあらわし、飛行機製造の分野でも注目されている。

 当時、私はこの地域のことをかなり細かく調べていた。たとえば、西安市に属しながら、実際は80キロメートルも離れた飛び地にある楊凌という町まで足を運び、色々と調査した。楊凌は「農業科学シティ」という異名の通り、農業関連の研究が盛んなところだ。当時の調査報告に私は次のように書いている。