成功した実業家が政界に転じ世界の台風の目となった例といえば、もちろん米トランプ大統領だ。同じ展開が、アジアでも起こる可能性がまたぞろ高まってきた。台湾・鴻海精密工業の創業者、郭台銘(テリー・ゴウ)氏が12日、台湾国民党からの離党を表明。一度は断念とみられた2020年1月の台湾総統選に、無所属候補として出馬する見通しだ。(ダイヤモンド編集部 杉本りうこ)
現職・蔡英文に追い風の中
なぜ党への支持を割る行動に?
今回の台湾総統選では、与党の民進党が現職の蔡英文氏を、野党の国民党が韓国瑜・高雄市長を公認候補としてすでに擁立している。郭氏は国民党に求められる形で7月の党予備選に出たが、韓氏に大敗を喫した。郭氏が実際に出馬した場合、蔡・韓両氏との3つどもえの選挙となる。
台湾の政治において中国本土との関係は常に最大の課題だが、今回の選挙では過去にもまして、対中姿勢が争点となっている。米中対立のはざまで、親米か親中か旗幟鮮明にする必要があるのはもちろんのこと。さらに香港での市民デモも、台湾の世論に大きく影響している。台湾の有権者は香港の境遇に自国を重ね合わせ、中国への不安感をこれまで以上に募らせている。