NEV量産拡大に向けて
各社、中国企業を活用

 トヨタが7月に発表したBYDとのプロジェクトは、両社がBEVを共同開発するという内容。セダンと低床SUVが開発候補に挙がっており、2020年代前半にトヨタ・ブランドで発売する予定。BYDはリチウムイオン電池(LiB)の開発と生産を行う。トヨタは中国で生産・販売するBEVおよびPHEV(プラグイン・ハイブリッド車)用のLiBをBYDおよびCATL(寧徳時代新能源科技)から調達する計画を発表しているが、自動車部門のBYDオートを持つBYDとは車両の共同開発に踏みきった。

 中国でのNEV合弁は、ダイムラーがBYDと共同で立ち上げた騰勢(DENZA)に始まった。これにVW(フォルクスワーゲン)と江淮汽車の合弁会社が続き、現在はBMW、フォード、そしてルノー、トヨタが加わった。このように外資と中国資本自動車メーカーのNEV合弁が進んだ背景には、中国のBEVスタートアップ(新興)企業が軒並み不発に終わった経緯があるからだ。

 中国版テスラと呼ばれるNIO(上海蔚来汽車)や日産とBMWの出身者が設立したBYTON(拜騰汽車)などがスタートアップ企業として成功を収めつつある一方で、最盛期には80社ほどあった企業の大半はBEVの製造図面を作製するには至らず、資金集めの段階で挫折した。モーターショーで華々しく計画を披露し、コンセプトカーの展示を行った企業でも、実際には“一度も実車を試作したことはない”のだ。

 もっとも、NIOとBYTONも現状では赤字を抱えている。NIOは販売台数こそ順調に増えているが、トラブルへの対応や宣伝、マーケティングなどに巨費を充てている。最終的に生き残れるBEVスタートアップ企業は5~6社ともいわれる。3年ほど前、中国政府はBEVスタートアップ企業を優遇し、各省の銀行団に積極的な融資を呼びかけた。だが、現在は方針を転換し、整理淘汰に動いている。BEVスタートアップ企業の資金調達はますます難しくなるだろう。

 中国政府は、年間3万台以上を販売する自動車メーカーのNEV販売比率を引き上げる方向で検討している。20年に12%という目標を14%に上方修正し、21年は16%、22年は18%へと引き上げる案を示した。その一方で、NEV補助金は来年で打ちきる。これは自動車メーカーにとって厳しい規制強化であり、各社はNEV量産拡大に向けて中国企業を活用しはじめた。それが今回のルノーやトヨタの動きである。

(報告/牧野茂雄、まとめ/CAR and DRIVER編集部)

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