なお、かんぽ生命は、保険契約の全件について調査を行うとしているが、その内容は「ご加入いただいている保険契約は、お客様のご意向に沿ったものでしょうか」という質問に「はい」か「いいえ」かを答えさせ、加えて自由記述欄があるだけの簡単なはがきを送りつけるだけのものだ。しかも、回答が「はい」で自由記述欄に書くことがなければ返送は不要だとしている。

 そもそも、不適切な営業を受けたが、どの点が不適切だったのかを理解していない顧客が少なくないはずだし(理解できなかったから契約したのだろうに)、不満の内容を文章で書けという構成は契約者側の負担が大きい。

 販売データ全件を分析して疑わしい事例を抽出して、個々に調査するような真面目な調査を行うべきだ。

なぜ保険販売の再開を急ぐのか?
理由が何にせよ不適切だ

 それにしても、これだけ問題の多い日本郵便でのかんぽ生命の保険商品販売なのに、その再開を急ぎたい主な理由は何なのか。普通の金融機関経営者なら、大き過ぎるリスクを前に自己保身に走りそうなケースにもみえるのだが、どうしたことか。

 4月に売り出した株式の株価下落に歯止めをかけるべく、早く収入を増やそうとしているのか。あるいは、個々の郵便局経営の問題なのか。それとも、保険販売に収入の多くを頼っている郵便局員の収入源の補填を急ぎたいのか。

 記者会見で業績予想を下方修正しなかった日本郵政グループの経営陣は、株価も気になるだろうし、政治的な影響力が大きいとされる郵便局長や郵便局員にも販売自粛に不満を持つ向きはあるのだろう。

 しかし、繰り返すが、理由がいずれであるにせよ、早期の販売再開は不適切だ。