今回の特別対談のテーマは「幸せとは何か?」。ベストセラーとなったレバレッジシリーズなどで知られる本田直之氏と、映像で世界平和の実現を志す社会起業家・関根健次氏。この2人が、「幸せの本質」ついてとことん語り合った。日本が閉塞感に包まれる中、私たちはどうしたら幸せを感じることができるのか。世界の幸福度ランキングで81位という日本人の幸福感の背景にはいったい何があるのか。世界の価値観と比較しながら、「幸せとは何か?」を探る。前編、後編の2回にわたってお届けする。
(取材/構成/執筆/撮影:ダイヤモンド社 出版編集部 宮田和美)

本田直之(ほんだ・なおゆき)
レバレッジコンサルティング株式会社 代表取締役社長兼CEO

明治大学卒業後、シティバンクなどの外資系企業を経て、バックスグループの経営に参画し、常務取締役としてJASDAQへの上場に導く。現在は、日米のベンチャー企業への投資事業を行うと同時に、少ない労力で多くの成果をあげるためのレバレッジマネジメントのアドバイスを行う。東京、ハワイに拠点を構え、年の半分をハワイで生活するデュアルライフを送っている。著書に、ベストセラーになったレバレッジシリーズをはじめ、『ノマドライフ』(朝日新聞出版)、『LESS IS MORE』(ダイヤモンド社)などがある。
関根健次(せきね・けんじ)
ユナイテッドピープル株式会社 代表取締役社長
ベロイト大学経済学部卒業(米国)後、主にIT業界に勤務。2002年にユナイテッドピープル株式会社を創業し、世界の課題解決を目指す事業を開始。募金サイト「イーココロ!」やネット署名サイト「署名TV」を運営。2009年からは映画配給事業を開始。2011年からはUFPFF 国際平和映像祭を開催。「映像による世界平和の実現」を掲げ、ビジネス展開を進めている。著書に『ユナイテッドピープル』(ナナロク社)がある。

日頃から、自分が何を
大事にしているかを意識する

本田 この映画を観て、僕が一番印象に残ったところは、人が幸せを感じる前提についてです。関根さんが配給プロデューサーをつとめる映画『happy』の中では、人が感じる幸せというものは、まず50%は「遺伝的なもの」から、10%は収入とか肩書きとか住まいといった「環境」が前提になっていると紹介されていました。そして残りの40%については、「日常の意図的な行動」に由来しており、この部分に関しては増幅することが可能だとも言っています。

 ただ僕は、この日常の意図的な「行動」の前に、日常の意図的な「考え方」があるんじゃないかと思いました。僕の著書『LESS IS MORE』の中でも書きましたが、モノをたくさん持っていることが幸せなんだと思っているときと、より精神的、より体験的な幸せを求めるときでは、行動自体が全く違ってきます。

 近年は物質的なものから精神的なものへ欲求がシフトし始めていますが、その変化に気づかないでこの40%の部分を増やそうとする、つまり行動だけで幸せを増幅させようとするとズレが出てきてしまいます。なぜなら、自分がいま大事にしているものが何なのか、それをきちんと理解していなければ、日常的な行動を変えることはできないからです。

 それだけ日頃から、「自分はどこに幸せを感じるか」を意識することが大切です。そういう自分なりの幸せのモノサシというものをちゃんと持つことができれば、遺伝や環境といったこれまでの人生の中で培ってきたものだけじゃなく、いまの自分の力で幸せを得たり増やしたりことができると思うのです。

関根 僕も本田さんの著書『LESS IS MORE』を読ませていただきましたが、その中に書かれていた「新しい幸せ 10の条件」という部分は、僕たちの映画とすごくリンクすると感じました。本田さんが先ほどおっしゃっていた通り、増幅可能な40%の部分をどう自分の中にどう取り入れて、どう行動するかによって、幸せ度が大きく変わってくると思います。