このような状況は、誰も望まない。しかし現実として起こっている。

 では、私たちはこのような「考えない人」にならないようにするために、どうしたらいいのだろうか?

 ベテランのビジネスマンで物事を深く考えない人であっても、新卒の頃はもっと考えていたはずだ。

 そのような人が、社会人になってかなりの年数がたつと、なぜ考えなくなってしまうのだろうか?

人間の脳は
本質的に省エネモード

 脳科学の研究では、人間の脳は本質的に省エネモードであることがわかっている(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbef/12/0/12_62/_pdf/-char/ja)。

 例えば脳は、「従来とは全く違う思考や業務を行うこと」よりも「ルーティン」を好む。

 これは毎回、新しいことを考えること自体が、脳にとって負担だからだ。

 だから脳は、常に負担が掛からないようにしようとする性質を持つ。この性質が人を考えなくするように働いていると考えられる。

 ビジネスマンであれば、新人の頃は何もかも新しいことばかりで、学ばなければならないことだらけだから、常に脳は活性化している状態だ。

 ところがビジネスマンとしての経験をたくさん重ね、ベテランになり、ある程度のことはさほど頭を使わなくてもこなせるようになってくると、状況は変わってくる。

 負荷なくスムーズに思考や業務ができるのであれば、脳はそれをよしとして、それ以上のことをやらなくなっていく。これが「考えない人の脳」がなす仕業だ。

 また、その人の価値観や特性などが、「人を考えなくするように影響している」ことも、脳科学や心理学などの複数の研究でわかっている。

 心理的に「失敗したくない、リスクを取りたくない」と考える人は、今やれることを手堅くこなすことに集中してしまい、新しいことにチャレンジしなくなっていく。そしてそれに伴って、次第に物事を考えなくなっていく。

 こうして「考えない人」が徐々に形作られていくのだ。