消費税廃止
もし消費税を廃止にするなら、どんな方法が望ましいのでしょうか? Photo:PIXTA

消費税率が上がる。こんなときにあり得ない話ではあるが、仮に消費税を廃止するとしても、一気に廃止するのでは景気回復効果が乏しく、経済に無用な混乱を招くだけだ。もし廃止するなら、少しずつ税率を下げていくべきであろう。(久留米大学商学部教授 塚崎公義)

景気対策は大きければ良いわけではない

 10月1日から消費税率が8%から10%に上がる。消費者にはもちろん憂鬱な話だが、軽減税率などの混乱を考えると、販売の現場にとってはさらに憂鬱な話なのだろう。

「いっそのこと、消費税を廃止してしまえば、面倒もなく、景気も良くなるはずだ」と考えたくなる人もいるのではないか。しかし、世の中はそれほど単純ではない。

 年間の消費税収は、18兆円ほどである。今回の増税後は、さらにその額が増えるだろう。これを一気に廃止すると、超大型の消費刺激策となる。それで人々の生活が一気に豊かになるならいいが、おそらくそうはならない。

 現在、すでに日本は労働力不足の状態だ。だから需要が増えても一気に供給を増やすことはできない。そこで、需要が増えた分の一部は輸入の増加になり、すると、それらを供給する外国の生産者が潤うだけである。

 また、国内では需給が逼迫するから物価が上昇するだろう。そうなると、日銀がインフレを抑え込むために金融引き締めをして、景気をわざと悪化させる。つまり、大型減税で景気を押し上げようと思っても、その大半は日銀によって押し戻されてしまい、景気対策としての効果は小さいものにとどまる。

 景気対策は「大きければ効果も大きい」わけではない。インフレになって日銀の金融引き締めを招いてしまうようでは、せっかくの減税が「無駄玉」になってしまうのだ。

 一方で、消費税率を小幅に引き下げていくならば、小幅の景気対策が時間をかけて何度も実施されるので、需給のバランスが大きく崩れてインフレを招くことはないだろう。それなら、筆者も賛成である。