1日1杯のアルコールは2型糖尿病患者にも良い?
適量の飲酒が健康な人にとってプラスになるというエビデンスは少なくないが、2型糖尿病患者にも有益である可能性が報告された。少量~中等量のアルコールを摂取している人はトリグリセライド(中性脂肪)が低く、インスリン感受性が良いという。研究内容は欧州糖尿病学会(EASD2019、9月16日~20日、スペイン、バルセロナ)で発表された。
東南大学(中国)のYuling Chen氏らは、PubMed、Embase、Cochranライブラリーを用いて2型糖尿病患者のアルコール消費について報告した論文の文献レビューを実施。計575人の被験者を含む10件のランダム化比較試験を抽出。メタ解析により、血糖コントロール状況やインスリン値、インスリン抵抗性などの糖代謝関連指標、およびコレステロールやトリグリセライドなどの脂質代謝関連指標といった、糖尿病の管理に関するさまざまな因子について検討した。
解析の結果、毎日少量~中等量のアルコールを摂取している人は、トリグリセライドが低値であることがわかった。トリグリセライドは150mg/dL未満が基準値とされ、トリグリセライドが高いことは心疾患リスクの上昇と関係している。本研究における適量飲酒者のトリグリセライドは平均で約9mg/dL低かった。
また、空腹時血糖やHbA1cに有意差はなかったが、インスリン値やインスリン抵抗性の指標であるHOMA-IRはアルコールを少量~中等量摂取している人で低値だった。これは適量飲酒している人のインスリン感受性が良いことを意味する。なお、総コレステロール、LDL-コレステロール、HDL-コレステロールは有意差がなかった。
これらの結果のまとめとして、Chen氏は「2型糖尿病患者において少量~中等量の飲酒によりインスリン抵抗性が軽減することが示唆された。少量~中等量の飲酒は、2型糖尿病に対する保護効果を有する可能性がある」と考察。しかしその一方で、「大量の飲酒は糖尿病のリスク因子であることが報告されている」とくぎを刺している。