Aさんは続ける。

「でも、2年が過ぎて3年目になった頃から、何だか仕事に対する意欲が急速に薄れちゃったんです。仕事に慣れてくると、そう目新しい課題にぶち当たることもないじゃないですか。明らかにラクになってきた。でも、ラクになってきた半面、刺激がないというか、緊張感がない。なんか惰性で働いてるような感じで、どうも気分がスッキリしない。そんな状態になってきたんです」

 このように語るAさんは、ついに転職を考えるようになった。そして、色々な転職サイトを見て企業研究をしているうちに、「これは転職しても変わらないんじゃないか」と思うようになったという。

「もう、まさに転職を決断する寸前まで行ったんですけど、あるとき、ふと思ったんです。今転職して、緊張感が溢れ、刺激的な仕事生活になったとしても、また数年後、仕事に慣れた頃に、同じようなことになるんじゃないか、って。それで思い直したんです」

「生きる意味」という言葉に
敏感に反応するようになったら

 では、どうしたらよいのか。そんな思いを抱えているとき、たまたま飛び込んだ書店で「人生の意味」「生きる意味」といった言葉になぜか敏感に反応する自分がいることに気づいたという。

「あっ、『自分は意味を見失っていたんだ』って思ったんです。ただ転職すればいいというような問題じゃないかもしれない、って」

 自分の日々の生活に意味を感じられないことほど、空しいことはない。仕事にまだ慣れない頃は、できないことができるようになるように、知らないことが少なくなるように頑張るしかなく、そこに未熟な自分の弱点を克服していく喜びがある。それが努力を要するものであって、相当きつくても、そこに意味を感じることができる。