こんにちは、「電子書籍フォーキャスター/World Business Trend Tracker」の吉田克己です。今回も電子書籍マーケットの将来予測(フォーキャスト)をお届けします。第6回は――ちょうどこの原稿が公開されるタイミングと「コボタッチ」の発売日が重なるということもあり――ここ2ヵ月くらいで出てきた話題を、おもに各種の調査結果と予測データを中心に整理しておこうと思います。

米国ではもはや、
電子書籍ブームは過去のもの?

 まず、6月の4~7日の4日間、ニューヨークで開催された「Book Expo America 2012」のまとめを見ておくことにしましょう。

Book Expo America 2012まとめ(2012.06.14)

Book Expo American 2012 Wrapup(2012.06.08)

 一読して感じることは、米国ではもはや、電子書籍ブームは過去のものになってしまっているかの如くだということです。

 あちらこちらで係争中であることが影響しているのかもしれませんが、楽天が買収した「Kobo」だけが気を吐いていたような印象を受けます。

cf.Kobo、リアルタイムセールスダッシュボードを発表(2012.06.12)

電子教科書には積極的な動きもあるなか
図書館での電子書籍貸し出しの認知度は低い

 同じ米国での話題と言えば――日本ではまだまだ本格的な動きは感じられませんが――第2回でも取り上げましたが、教科書の電子書籍化や、図書館での電子書籍の貸し出しが挙げられます。

 米国コネチカット州の私立校、South Kent Schoolは、昨年の段階ですでに、iPadを利用して電子教科書へ完全移行しています。

South Kent School、完全に電子教科書へ移行(2012.06.12)

 実際、社会科などで時事問題を扱う際には、電子教科書――そのものの性質というよりは、iPadからインターネットへのアクセスを絡めることによって、より柔軟な授業が可能になることは確かでしょう。