落とし穴(その2):
問題や失敗だけを振り返らせる

 マネジャーが陥りやすい2つ目の落とし穴は、「問題や失敗だけを振り返らせる」ことです。

 もちろん、仕事上の問題点や失敗したことを振り返り、問題を解決し、同じような失敗を二度と繰り返さないようにすることは大事です。

 問題なのは、「問題や失敗だけ」を振り返らせることにあります。

 育て上手のマネジャーたちは、「問題や失敗だけでなく、上手くいったことや成功も振り返らせる」ことで部下が持つ強みを引き出していました。

 なぜ、成功を振り返る必要があるのでしょうか?

 それは、(1)成功の中にその人の強みが表れることが多く、(2)再び成功するために、また、(3)より高いレベルで成功するためには、なぜ成功したのかを理解する必要があるからです。

 経験を振り返ることを「リフレクション(reflection)」といいますが、日本では「反省」と訳されます。それだけ、私たち日本人は、問題や失敗に目が行きがちだといえます。

 成功経験を振り返らせる指導は、「リフレクション(振り返り)」の中に「エンジョイメント(やりがいや意義)」を取り入れるアプローチです。