どのように部下をまとめ、導けばよいのか、「リーダーとしての仕事のやり方」を教えてくれる会社はほとんどない。そのため、多くの会社で「上司はいるがリーダーがいない」という奇妙な状態が起こっている。

国連、米軍、ディズニー、アメックスなどの一流組織でリーダーシップを教え、TED動画が4000万回以上(史上3位)再生されているコンサルタント、サイモン・シネックによると、リーダーの本質は「人を奮い立たせること」だと指摘する。

シネックの思想を50のシンプルな言葉と美しいイラストにまとめた新刊『「一緒にいたい」と思われるリーダーになる。』の刊行を記念し、本書を監訳したコーチ・エィ社長の鈴木義幸氏に、リーダーが気を付けておくべきことを聞いた。

リーダーが完璧主義だと
部下は「指示待ち人間」化する

 日本のリーダーによく見られる失敗例として、「なんでも自分でやってしまう」ことが挙げられます。

 「部下に背中を見せる」という言葉が残っているように、「まずは自分がやってみせないと部下は動かない」と思っているリーダーは多いでしょう。そういう人が完璧主義だったり、「この職場でいちばん仕事ができるのは俺だ」という認識を持っていたりすると、部下に仕事を振ることができず、「自分でやってしまったほうが早い」と思ってしまうんですね。

 部下からしてみると、完璧そうに振舞っているリーダーは支援しにくい。逆に、分からないことは分からないなど、弱みなどをさらけ出すタイプのリーダーだと、部下たちは「私たちが頑張ってやらなきゃ」と思うわけです。部下は自発的に動機づいて、参加意識が高まります。

 つまり、完璧そうなリーダーの元では、部下はリーダーを支援できず、指示をひらすら待つしかなくなります。リーダーのパーツになるしかないのです。

 コーチングの観点から考えると、リーダー自身がすべての仕事をできる必要はまったくありません。部下にやり方を聞いたり、相談したりすることは、リーダーにとってマイナスになるどころかプラスになることが多々あります。部下は相談されると、「自分は期待されている」「自分認められている」と思ってうれしく思うからです。

わからないことを部下に聞くのは
リーダー必須の能力

 仕事の仕方を部下に聞くと、なめられるんじゃないか? という思い込みを持っている人がいますか、実際そんなことはありません。むしろ、知らないことを部下に聞けるリーダーは正直ですし、分からないことを聞くのは、リーダーに必須の能力だとさえ言えます。そしてこの正直さという要素がないリーダーには、部下は絶対ついてきてくれません。

 この人は嘘をつかない、正直だ、ということは、だまされる心配がないということ。この人にならついて行っても大丈夫だというわかりやすいメッセージになります。逆に裏表があると思われているリーダーには、ついていきにくいですよね。

 もちろん会社ですから、きれいごとですまされないこともあるとは思いますが、基本的な部分で正直な人に人はついていきます。

 部下に話を聞くうえでポイントなのは、相手に伝わるようにリアクションをとること。相談してきた部下に対して「そうだねえ」など生返事をしたままではいけません。話を聞いたら、「よしじゃあ君に任せよう」あるいは、「この状態では任せられない」などと、自分の考えや要望をはっきり伝えなくてはいけません