育て上手のマネジャーの指導法

 以上の落とし穴をまとめると、次のようなアプローチになります。

(1)弱みを克服させることに重点を置き
(2)問題や失敗のみを振り返らせ
(3)マネジャーが職場のすべてを仕切っている

 こうした指導方法は、「反省」を重視した、極めて日本的・職人的な育成方法です。日本人である私たちの多くは、知らず知らずのうちに、こうした落とし穴にはまっていると考えられます。

 これに対し、育て上手のマネジャーは、次のような形で部下を指導していました。

(1)強みを探り、成長ゴールで仕事を意味づけ
(2)失敗だけでなく成功も振り返らせることで、強みを引き出し
(3)中堅社員と連携しながら、思いを共有している

育て上手のマネジャーは部下をどのように指導しているのか

 図表0-1に示したように、このアプローチの中核は「強みを引き出す」指導にあるといえます。業務を開始する前に、部下の強みを探り、成長ゴール(伸ばすべきスキル目標)で仕事を意味づけることは、強みを引き出すための準備作業です。

 そして、中堅社員と連携しながら、ビジョンや理念を共有することで、安心して仕事ができる環境が整うとともに、若手や中堅メンバーが主体的に働くことをうながします。その上で、失敗だけでなく成功も振り返らせることで、部下の「強みを引き出す」ことができるのです。