今、社長の人も、これから社長を目指す人も、さらにレベルアップ、スキルアップするためには、何をどうすればいいのでしょうか? 人気コンサルタント小宮一慶氏の最新刊『社長の成功習慣』(ダイヤモンド社、9月5日発売)は、経営者になる人にぜひ身につけてほしい50の行動習慣について解説した社長のための教科書です。本連載では、同書から抜粋して、経営者としていっそう成長するためのポイントについてお伝えしていきます。

思考力を高めるためには、論理的思考力が高い人が書いた読み応えのある難しい本をじっくり読むPhoto: Adobe Stock

ビジネスパーソンに必要なのは、「思考力」と「実行力」

 私は、経営者に限らずビジネスパーソンに必要とされる基礎的な能力は2つあると考えています。

 1つは「思考力」、もう1つは「実行力」です。

 特に経営者や経営者を目指す人には、複雑なことを考え抜く高い思考力が求められます。というのも、これは多くの人があまり理解できていないポイントなのですが、世の中は「複雑系」だからです。

 単純にしかものを考えられない人には、その複雑系の中で方向づけを決めることは難しいのです。ここで注意が必要なのは、近年、日常生活はどんどん単純化されているということです。

 たとえば一昔前までは、電車に乗るには路線図を見て運賃を確認し、券売機で切符を買い、お釣りを確認し、その後も切符をなくさないように気をつけなくてはなりませんでした。

 しかし、今はスマートフォンやICカードを改札にかざすだけですべてが済んでしまいます。非常に便利ではありますが、こうして世の中が便利になることで、頭を使う機会はどんどん失われているということも言えるわけです。ぼんやりしていると、複雑なものを複雑なまま理解する、「考える力」は落ちる一方ということになりかねません。

 企業の方向づけを判断しなければならない経営者には、意識的に思考力を鍛えることがますます求められるようになっているのです。