増えすぎて過当競争だから
コンビニバイトの賃金は低い

 実は今でこそ人手不足だ、過重労働だと危機が叫ばれているコンビニだが、20年以上前から良識のある人たちから「店が多すぎてもうダメでしょ」と苦言を呈されていた。例えば、こんな感じである。

「経営の成り立つ一店当たりの人口は二千人が下限――。既存店の売上高が伸び悩むチェーンが増えるにつれ、コンビニの『成長の限界論』が再びもたげ始めている。現在、全国のコンビニはチェーンに属さない個人経営も含めれば約五万店と言われている。単純計算では一店当たりの人口は二千四百人。二千人を下回る都府県がある首都圏、関西圏で苦戦する店舗が多いだけに、二千人限界説は現実味を帯びてくる」(日経流通新聞1996年11月19日)

 しかし、ドミナント戦略を推進するセブンのカリスマ・鈴木敏文氏を筆頭に「いやいや、まだまだコンビニは伸び盛りですよ」と、拡大路線をひた走りにしてきた。その結果が「今」だ。

 客の絶対数が増えなくとも、客のニーズを掘り起こし、新たな価値を提供するとして、次から次へと新たな商品やサービスを開発してきた。おかげで店の売り上げはアップしたが、それを提供する現場は年を追うごとに疲弊していった。

 セブンをはじめコンビニ企業はウハウハだが、オーナーはバイトが集まらず不眠不休でレジに立ち続け、バイトも日本の労働者の中でも際立って低い賃金となっている。

 こういう客観的な事実を見ると、やはり問題は「拡大路線」にあるとしか思えない。FC本部が利益確保のために、店舗の数を増やしすぎたことで、低賃金労働が定着してしまったのだ。

 日本フランチャイズチェーン協会(JFA)のデータでは、2012年のコンビニ店舗は4万6905店舗で、19年は5万5633店舗まで増加。23年前に限界説が唱えられた5万店を突破している。では、この7年間の成長で労働者の賃金にどれだけ還元されたのか。

 リクルートジョブズの「2019年9月度 アルバイト・パート募集時平均時給調査」三大都市圏のコンビニスタッフの平均時給は989円。では、7年前の2012年9月は873円なので13%アップだ。

 十分じゃないかと思うコンビニ経営者もいるかもしれないが、そういうビジネス感覚が既にブラックである。市場が成長しつつ、働く先も適正な業界は、もっとちゃんと賃金が上がっているからだ。

 例えば、訪日外国人観光客が増加したことで「ホテル不足」が叫ばれているホテル業界。ホテルフロントは先のリクルートジョブズの調査で2012年9月の922円。それが19年9月には1133円と7年で22%もアップしている。

 拡大路線をひた走り、事業者を増やしてすぎて、それらを延命させるために、低賃金労働者を犠牲にするというコンビニのビジネスモデルは、戦後の日本の産業構造そのものである。

 だましだましやってきたコンビニが限界に差しかかっているように、日本の産業構造も限界が近いということを認めるべき時がきているのかもしれない。