成功の秘訣はいつも同じ
顧客を起点に発想すること

――ウェブメディア業界ではこの1年でサブスクに移行する企業が増えました。ページビュー(PV)を争っていた状況から、競争環境が変わりつつあります。ウェブメディア各社にとって、どのようなところが勝利のポイントになりそうでしょうか。

 メディアは紙媒体の時代から定期購読で販売するモデルがあり、サブスクはその頃から行っていました。また、書店で一冊ずつ販売していくモデルが主でした。

 ところが記事をデジタル化した時、なぜか無料となった。これは合理性を欠いていておかしなことでした。それで、デジタルでも有料にしているのが今の状況ですよね。

 成功の秘訣は、いつでも同じです。発想を読者からスタートすることです。これは実は、紙媒体が主だった時代でも、デジタルでも関係ないことです。

 また、読者はブランド力を意識しています。「ワシントン・ポスト」や「ウォール・ストリート・ジャーナル」、「タイム」など、ブランド力がある媒体は、読者は有料でも読もうと考えます。

「ニューヨーク・タイムズ」はサブスクに移行して、ものすごく健全な経営環境になりました。今では売り上げの3分の2がサブスクや紙媒体の購読料になっています。広告収入に頼っていた時代は、景気動向に左右され、業績が上下していました。

――ダイヤモンド・オンラインは、サブスクに取り組み始めてから4カ月が経ちました。サブスクへの移行はビジネスモデルの転換そのものを指すと著書でもありましたが、まさにその通りで、サービスをスタートした当初は混乱して、編集部の現場ではストレスが発生しました。今は有料会員の数字を見て一喜一憂しています。

 サブスクに移行したメディア企業は、どこも良い方向に向かっていますね。御社も良かったですね(笑)。混乱した? ストレス? いいんですよ。ストレスは組織の活力になります(笑)。

ティエン・ツォ(Tien Tzuo)/Zuora創業者、CEO。セールスフォース・ドットコムの創業期に入社し、CMO(最高マーケティング責任者)やCSO(最高戦略責任者)を歴任。同社での経験から「サブスクリプション・エコノミー」の到来をいち早く予見し、2007年にZuoraを創業しCEOに就任。Zuoraは従来のプロダクト販売モデルからサブスクリプション・モデルへのビジネスモデル変革と収益向上を支援するSaaSプロバイダーで、世界に1000社以上の顧客を持つ。2018年4月にニューヨーク証券取引所に上場