その1:ミルクを飲ませすぎない
好き嫌いが多い幼児は、親からもっと食べるようにプレッシャーをかけられていることが、私たちのグループの研究から明らかになっています。また、幼児の食の研究「ジェミニ」では、好き嫌いの多い幼児は、2歳になった時点で、好き嫌いの少ない幼児より、(牛乳を飲まずに、または牛乳に加えて)粉ミルクと、それにもましてフォローアップミルクをたくさん飲んでいることがわかりました。
さらに、好き嫌いの多い子どもは、固形食をあまり食べていませんでした。母親はこの原因を食べ物に興味がないからだと考え、子どもが十分な栄養とカロリーを摂取できるように、粉ミルクを飲ませていると回答しました。
ところがそうなると、粉ミルクで満腹になるせいで、固形食を欲しがらなくなり、さらには健康的な食習慣を身につけ、さまざまな食べ物に触れて偏食を減らす機会が奪われる可能性が高くなります。そのため、食べる量が少ないからといって、粉ミルクで補うのはおすすめしません。
代わりに、これから紹介する方法で、健康的な食習慣を身につけられるように手助けしましょう。バラエティに富んだものを食べさせられれば、フォローアップミルクなどを利用する必要はなくなります。そもそもそういったものを飲ませる利点を裏づける科学的根拠はありません。
その2:「嫌いなもの」も出しつづける
効果的な方法は、食事の時間に確実にお腹がすいているようにすることです。食欲の乏しい子どもは、おやつを食べる時間が近すぎると、満腹感が強くて食事を食べられなくなります。おやつにはミルクも含まれます。そこで、おやつと食事の時間はしっかり空けるようにしてください。
好き嫌いの多い子どもの親はよく、食事をさせるのに苦労するあまり、子どもが新しい食べ物や、嫌いな食べ物に触れないように機会を制限していると言います。
ところが、食の好みは経験によって養われます。子どもは味わう機会が増えるたびにその食べ物に慣れ、やがてだんだんと好きになるのです。幼児は嫌いなものを受け入れるまでに、15回はそれに触れる必要があるかもしれません。なぜなら、幼児は新しいものを嫌がる時期があるため、新しい食べ物を受け入れるのが難しくなるからです(乳児期よりもはるかに難しくなります)。
子どもが嫌いな食べ物はやめて、好きなものを出したくなりますが、それは控えましょう。たとえば、ブロッコリーを取り除き、代わりにフライドポテトを与えてはいけません。これは心理学で「負の強化」と呼ばれるものです。ブロッコリーが取り除かれ、それより良いと思っているものに置き換えられることで、ブロッコリーへの嫌悪感が強化されるのです。
もちろん、せっかく調理をしたり、準備をしたりしたものを、子どもが食べてくれないとがっかりするかもしれません。それでも、ある食べ物を拒むたびに、もっと好きなものを代わりに与えていたら、子どもは当然、あまり好きではないものを拒みつづけることになります。子どもの好き嫌いに流されてばかりではいけません。親である以上、時には厳しい態度を取ることがためになるのです。