その3:シールやほめ言葉を「ごほうび」にする
また、嫌いなものを食べさせるのに、好物をごほうびにしないことも大切です。たとえば、アイスクリームが大好きだからといって、ブロッコリーを全部食べたらアイスクリームをあげると言うのはやめましょう。
そんなことをすれば、「ブロッコリーは嬉しくないもの」という事実を裏づけることになります。アイスクリームを食べるために仕方なく食べるだけのものになってしまうのです。それではブロッコリーを好きになることはありません。
それどころか、アイスクリームはおいしいだけでなく、今度はごほうびという高い地位を得たことで、ますます魅力的になります。
そこで、子どもがブロッコリーを食べるか、少なくとも食べようとしたときは、シールをあげるなど、食べ物以外のものをごほうびにしましょう。
ごほうびと経験の組み合わせを調べた研究のさきがけのひとつが、2010年にユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの私たちの学部で行われました。
4歳から6歳の子どもたちに、12日間にわたって嫌いな野菜を毎日ひと口食べさせ、具体的なごほうび(シール)か社会的なごほうび(ほめる)を与えるグループと、何のごほうびも与えないグループに分けて観察したのです。また、12日間嫌いな野菜を与えられない対照グループも設けました。
その結果、ごほうびをもらった子どもたちは、もらわなかった子どもたちや、嫌いな野菜を与えられなかった子どもたちより、嫌いな野菜をたくさん食べました。
私たちは「ジェミニ」でも、「タイニー・テイスト」という同じような調査を行いました。3歳になった子どもたちを、ランダムに2つのグループに分け、片方には自宅で14日間にわたって嫌いな野菜を毎日少しだけ出し、食べたらシールを与えます。
もう片方には嫌いな野菜をまったく出しません(対照グループ)。毎日味見をしてごほうびをもらった子どもたちは、対照グループの子どもたちに比べて、嫌いな野菜をはるかにたくさん食べ、その野菜をずっと好きになりました。
幼児に嫌いな野菜や、食べたことのない野菜を試すようにすすめ、食べ物以外のごほうびを与えることは、野菜やその他の苦手な食べ物への抵抗を減らす素晴らしい方法です。