乳幼児の食事と健康について、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで世界的に知られる研究チームを率いて、100本近い論文を発表してきたクレア・ルウェリンとヘイリー・サイラッドは、赤ちゃんの食事について、次のように語る。
「最初の1000日の経験が人生のほかのどんな時期よりも将来の健康と幸福に大きく影響することが、世界の科学者のあいだで広く認められています」「赤ちゃんがどんな食べ物を口にし、どんな習慣を身につけるかは、生涯にわたる影響をもたらすのです」
受胎してから2歳くらいまでのあいだに、どんなものをどのように食べてきたかが、「健康」「好き嫌い」「肥満」「アレルギー」など、その後の人生に大きく影響するというのだ。
では、何をどう食べたらどんな好影響・悪影響があるのか? 「妊婦は何を食べるといいか」から「母乳の効果、ミルクの効果」「離乳食は何をどうあげるべきか」といったことまで、クレアとヘイリーはそのすべてを『人生で一番大事な最初の1000日の食事』(上田玲子監修、須川綾子訳)にまとめた。本稿では、同書より特別に一部を紹介したい。

遺伝的に野菜を嫌う子もいる

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 なかには、野菜を受け入れるのがとくに苦手な子がいることも言っておかなければいけません。野菜の好き嫌いは遺伝的な影響が強いようですが、遺伝的に野菜を嫌う傾向のある子どもがいるからといって、好みを変えられないとはかぎりません。遺伝子がすべてを決めるわけではないので、変わる余地はあるのです。

 私たちがこれから行うアドバイスは、お子さんがさまざまな食べ物を積極的に受け入れ、好き嫌いを減らすのに役立つはずです。

少し食べたら、たくさんほめる

 子どもの望ましい行動をほめれば、子どもは自分のしていることが親を喜ばせていると理解し、ほめる行為はごほうびの役割を果たします

 これは心理学で「正の強化」と呼ばれるものです。ある行動に付随して何らかの報酬があると、その後、同じ行動が繰り返される可能性が高くなるのです。このテクニックは単純そうに見えますが、食事を含め、子どもの行動を管理するのにとても効果的です。

 赤ちゃんに初めての野菜や嫌っている野菜を与え、少し食べたらほめてあげると、赤ちゃんは野菜を食べるとお母さんが喜ぶのだとすぐに理解し、また食べる可能性が高くなります。赤ちゃんに食べさせるときに笑顔でいれば、赤ちゃんも笑顔になるでしょう

 たくさんの笑顔と励ましがあれば、野菜を食べるのは楽しいことなのだと、お子さんに伝えられるはずです。

大人がおいしそうに食べる

 赤ちゃんや子どもたちは、ほかの人を観察することで、口に入れても安全なものが何か学習しますが、食品についても同じことが言えます。赤ちゃんはある食べ物が安全だと教えてもらいたがっています。あなたに試運転してもらいたいと思っているのです。

 つまり、お子さんに食べさせたいものがあれば、お子さんと一緒に、または目の前でおいしそうに食べるのがいちばんです。

 そこで嫌いな野菜があっても(嫌われている野菜の典型といえば芽キャベツでしょう)、お子さんには気づかれないようにしましょう。赤ちゃんに食べさせたり、自分で食べたりしているときに、あなたが顔をしかめているのを見られたら、すぐに悟られてしまいます。赤ちゃんは、芽キャベツを食べてはいけない不快で危険なものだと瞬時に学習するはずです。すると、そうした食べ物を拒絶する可能性がはるかに高くなります。

 あなた自身が嫌いなものを食べ、好きなふりをするのは無理だとしても、お子さんに食べさせるのをやめてはいけません。一度も食べたことがないものは好きになりようがありません。食べさせてみると、むしろ気に入ることもあるでしょう。

 親は子どものお手本です。あなたが野菜を嫌ったり、避けたりすれば、お子さんもそれに倣うでしょう。子どもに野菜を食べさせたいなら、自分も食べること。たとえ毎回ではなくても、できるだけ子どもと一緒に食べ、野菜は健康的でおいしいものだと伝えるように心がけてください。

 最初から赤ちゃんを家族の食事に加えるのも一案です。そうすれば赤ちゃんはあなたを見て食べ方を覚えられるでしょう。これはつねに意識すべきことです。

(本原稿は、『人生で一番大事な最初の1000日の食事』〈クレア・ルウェリン、ヘイリー・サイラッド著、上田玲子監修、須川綾子訳〉からの抜粋です)