証券業界最大手の野村ホールディングス(HD)が10月29日、2020年3月期中間決算を公表した。米国会計基準ベースで過去最高の上半期黒字額を達成し、前期の赤字転落から“V字回復”したが、決算書を細かく分析すれば素直に喜べない事情が浮かぶ。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)
「まずまずの数字を残すことができた」
野村ホールディングス(HD)の北村巧財務統括責任者(CFO)は、同社が10月29日に発表した2020年3月期上半期決算についてそう評価する。
十分に満足できるとはいえないが、一応許容できる――。「まずまず」という言葉にはそんな微妙なニュアンスが込められている。
数字だけを見れば、十分胸を張っていいはずだ。純利益は、野村HDが米国会計基準を適用した2002年3月期以降、上半期で過去最高の1944億円に達した。赤字転落した19年3月期から、まさに“V字回復”である。法人向けのホールセール部門やアセット・マネジメント部門が好調で、収益改善に貢献している。
だが、それでも「両手を上げて喜べない」(野村HD社員)事情が野村にはある。それが「まずまず」という言葉に透けて見える。