7つのコツ【7つ目】

能作:はい。7つ目は
「『軸』から外れない」
 ことです。
 能作は、「やりたいことは、全部やる」のが基本です。
 とはいえ、「軸」から外れてはいけません。軸とは、能作の根幹にある哲学です。
 新規事業に取り組むときも、事業目的や既存事業の延長線上にあるべきです。
 たとえば、ブライダルを手がける和楽(わらく)グループと提携した、結婚10周年を祝う「錫婚式事業」では、能作本社での挙式や記念撮影に加え、錫製品の製作や特別な食事といった体験型のサービスを提供しています。
 一見しただけでは、ブライダルと伝統産業につながりは見えません。
 しかし、「錫」というキーワードを際立たせると、能作がこの事業に参入する意義・意味が生まれます。

――それはよくぞ思いつかれましたね。

能作:はい。ありがとうございます。長女で専務の千春が発案者です。
 錫婚式を通して「錫製の食器や雑貨の拡販」「錫製品の認知度向上」に寄与できるのです。

――なるほど。

やりたいことは全部やれ!<br />問合せ殺到中!<br />地方発の大ヒット商品「錫婚式」は<br />どうやって誕生したのか?能作克治(のうさく・かつじ) 株式会社能作 代表取締役社長
1958年、福井県生まれ。大阪芸術大学芸術学部写真学科卒。大手新聞社のカメラマンを経て1984年、能作入社。未知なる鋳物現場で18年働く。2002年、株式会社能作代表取締役社長に就任。世界初の「錫100%」の鋳物製造を開始。2017年、13億円の売上のときに16億円を投資し本社屋を新設。2019年、年間12万人の見学者を記録。社長就任時と比較し、社員15倍、見学者数300倍、売上10倍、8年連続10%成長を、営業部なし、社員教育なしで達成。地域と共存共栄しながら利益を上げ続ける仕組みが話題となり、『カンブリア宮殿』(テレビ東京系)など各種メディアで話題となる。これまで見たことがない世界初の錫100%の「曲がる食器」など、能作ならではの斬新な商品群が、大手百貨店や各界のデザイナーなどからも高く評価される。第1回「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」審査委員会特別賞、第1回「三井ゴールデン匠賞」グランプリ、日本鋳造工学会 第1回Castings of the Yearなどを受賞。2016年、藍綬褒章受章。日本橋三越、パレスホテル東京、松屋銀座、コレド室町テラス、ジェイアール 名古屋タカシマヤ、阪急うめだ、大丸心斎橋、大丸神戸、福岡三越、博多阪急、マリエとやま、富山大和などに直営店(2019年9月現在)。1916年創業、従業員160名、国内13・海外3店舗(ニューヨーク、台湾、バンコク)。2019年9月、東京・日本橋に本社を除くと初の路面店(コレド室町テラス店、23坪)がオープン。新社屋は、日本サインデザイン大賞(経済産業大臣賞)、日本インテリアデザイナー協会AWARD大賞、Lighting Design Awards 2019 Workplace Project of the Year(イギリス)、DSA日本空間デザイン賞 銀賞(一般社団法人日本空間デザイン協会)、JCDデザインアワードBEST100(一般社団法人日本商環境デザイン協会)など数々のデザイン賞を受賞。デザイン業界からも注目を集めている。本書が初の著書。
【能作ホームページ】 www.nousaku.co.jp