自衛隊は違憲だが改憲は不要!?
憲法学者たちの大いなる矛盾

 篠田氏が語るように、多くの憲法学者は自衛隊の存在そのものを違憲と考えているのが実態だ。

 たとえば、安全保障関連法案の議論が白熱していた2015年6月、朝日新聞が憲法学者209人に集団的自衛権や自衛隊に関するアンケートを行い、121人から回答を得た。その結果、自衛隊は憲法違反にあたると答えたのが50人、憲法違反にあたる可能性があると答えたのが27人と、いわゆる「違憲派」が過半数を超えている。

 また、不可解なのは、自衛隊が違憲と主張しながらも、9条を改正する必要があると回答したのは、わずか6人だったことだ。違憲状態を放置するのは、憲法をないがしろにする行為に思えるのだが。

 憲法に限らず、本来の法律条項の考え方として、2項は、戦争放棄をうたった1項の内容を補強する意図でつくられたとみるのが一般的なのだと、篠田氏は指摘する。しかし、憲法学者は、国際法をまったく考慮せず、言語感覚のようなものだけに基づいて解釈するがゆえに、自衛権と自衛隊の存在も否定するといった驚くべき結論に至るのだ。

 戦力不保持に加えて、もうひとつ2項で言及されているのが交戦権の否認だ。交戦権は国際法には存在しない概念で、これを認めないということは国際法を順守するという意味になる、と篠田氏は説明する。

「これは、戦前の大日本帝国憲法を根拠にした「交戦権(right of belligerency)」を振りかざして、現代国際法を否定しないことを日本国民が宣言した条項。ただし、憲法学者の勝手な主張によって、9条2項は国際法を順守するのではなく、国際法上の自衛権などを否定する条項と一般に説明されることになったのです」

 ここで問題なのが、日本政府もこの「交戦権」否認が国際法順守を意味することを、理解できていない点なのだという。

「政府は、『交戦権』を“交戦国が国際法上有するさまざまな権利の総称”と根拠のない勝手な解釈をして、国際法を受け入れないための条項だなどと言っています。そのため、具体例を挙げれば、日本の自衛隊は、海外で活動中に捕虜になっても捕虜条約の適用を受けないといった弊害が出ているのです」