女性の治療にも
テストステロンが効く
若い女性の不妊症治療にもテストステロンが使われているのをご存じでしょうか? そのメカニズムを説明しましょう。卵巣のまわりには顆粒細胞層というのが存在し、この顆粒細胞が男性ホルモンを女性ホルモンに変えて、卵子を成熟させて排卵を促します。一般の不妊症の治療で、女性ホルモンを補充しても、顆粒細胞に取り入れられないケースがあります。
この場合に、女性ホルモンの原料となる男性ホルモンを投与することで、妊娠能力を復活させる治療です。この治療を行う外来は、今や予約がとれないほどの人気となっていると聞いております。
ほかにも、更年期及びそれ以降の体調不良には、女性ホルモンではなく、テストステロン補充が効きます。
これは最先端の治療法なので、残念ながら、婦人科の医師で取り入れているところはほとんどありませんが、私はテストステロンを投与し、元気を回復した症例を何度も見てきました。当然、男性への補充方法とはやや投与量が異なります。
この女性への更年期以降の方のテストステロン補充治療では、「ヒゲが生えてしまうのでは?」「体つきに変化があるのでは」といったような副作用を心配されるのですが、投与量さえしっかりわきまえて適切に処方する治療では、まったく心配はありません。