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ブレイディ そう、やっぱりやわな子どもにしてはいけないですよね。自分で考えられる力を持つ、それって「強靱」さだと思うのですが、そういう強靱な子どもを育てるというのが大事だと思います。

 たとえば、保育士時代に私が英国で勤めていたのは非常に貧困家庭が多い地域で、失業者や低所得者の子どもを無料で預かる託児所だったんです。その託児所の創設者であり私の師匠でもあるアニーがいつも言っていたのが、「この子たちは人よりも早く自立しなくてはいけないのだから、その力を早く身に付けてあげるのが私たちの仕事」ということでした。

 そして、師匠が言っていたことと非常に似たことが、岸見さんの『嫌われる勇気』には書かれているなぁと思って読んでいました。

 どうしても貧困層のかわいそうな子どもたちだから守ってあげたくなるけれども、そうではなくて自分の力で考えて、自分の足で立てる子どもをどう育てていくかが大事ですよね。

岸見 そうですね。ただここは難しいのですが、自立“させて”はいけないですね。自立させられた子どもは、真の自立ではなくいわば「他立」になってしまう。親には自立への援助はできてもそれ以上のことはできません。放任はだめですし、必要なときは関与していかねばならない。でも、必要がないのに関与するのもよくないのです。

子どもの勉強に親が口出ししなければ
子育てはすごく楽になる

岸見 ブレイディさんが息子さんを「一人の人間」と見るようになったのは何かきっかけがありましたか?

ブレイディ 私の場合は家庭が貧しかったこともあって、割と放任されて育ったんですよ。だから、自分でいろんなことを身に付けてきたタイプなので、子どもにああしろ、こうしろというのは、自分にそういうクセがないというか、そもそもあんまりできないんです。

 だから子どもに任せていることがたくさんあります。任せられないことはもちろん助言しますが、大人と付き合うときにあんまりああしろ、こうしろって言わないじゃないですか(笑)。だったらどうして子どもに対してだけそうしなきゃいけないのかなと思うんです。私の場合は子どもと友人の付き合い方はあまり変わらないですね。