猫はなぜ飼い主のトイレまでのぞかずにはいられないのか?ステファン・ガルニエ(Stéphane Garnier)
1974年、フランス、リヨン市生まれ。レコーディング・エンジニアとして長く働いた後、現在は作家として小説、エッセー、ドキュメンタリーなどを手掛けている。愛猫ジギーとの暮らしを満喫し、その行動から日々得られた気づきをまとめた『猫はためらわずにノンと言う』(ダイヤモンド社)がフランスで20万部を超えるベストセラーとなり、世界28の言語に翻訳された。腕に抱いているのが愛猫のジギー。

 それからというもの、ジギーは毎朝決まって私のトイレをのぞきに来る。
 そのうちにシャワーから出てきた私が体を拭く動作の一つひとつも、まるで監視でもするように見に来るようになった。

「隠し事なしに一切分かち合うんだってこと?」
 私は笑いながらジギーに言った。
 すると、ジギーは洗面所に飛び込んで、汚れてにおいのする洗濯物の上に寝そべった。
 それは毎日、ジギーと二人で楽しむ、たわいない遊びのひと時だった。

 驚いたのは、船上の新入り、ネオとワラスもまたジギーとまったく同じことをし始めたことだ。
“サクランボ”と私が呼ぶ、いつも一緒の仲良し二匹が毎朝、小窓から挨拶をしに来る。
 猫たちにとってはそれが、夜の狩りから戻って日中ソファーの上で眠りこける直前の、すき間時間の習慣になっている。

  

猫にはどんなプライベートなことでも
分かち合えないことはない。