ビジネスパーソンにとって、スモールトークは
重要なコミュニケーションスキルの一つ
ここで、私自身の経験を少しご紹介します。
私はアメリカのビジネススクールを卒業し、日本の外資系企業に就職しました。当時、外国人上司との仕事の会話には、特に不都合は感じませんでした。
一方で、外国人上司とのランチや、本社からの出張者を交えて会食する場面等では、振られた話題に答えるのが精一杯でした。自分から何か話題を提供するということがなかなかできませんでした。
あとから思うと、自分は留学もしたキャリア女性で、スモールトークの会話といえども何か知的な話題を振らなければと、無意識に自分でプレッシャーをかけていたのかもしれません。結局、自分からは何も切り出せずに居心地の悪い時間を過ごしていました。
当時はスモールトークという言葉も知りませんでしたし、ちょっとした雑談がビジネスパーソンにとって重要なコミュニケーションスキルの一つであると、教えてくれる人もいませんでした。
そして、数年後にマネジャーに昇進する機会がありました。そのときに、直属の外国人上司と本社からの私への注文が、「より積極的にまわりとコミュニケーションをとるように」というものでした。それまで仕事をきちんとこなし、必要なコミュニケーションもしっかりとれていると思っていたので、改めてこの指摘を受け愕然としました。
なぜ、そう言われたのか上司に説明を求めたところ、チームをまとめたり、外部との交渉を取りまとめたりする立場になるためには、より積極的にコミュニケーションをとり、何気ない会話で場を和ませたり、信頼関係を築くための会話をリードすることが必要だと言われました。
こうした上司のアドバイスを聞いて、もっとスモールトークも交えた会話をしながら、周囲の人たちと“フレンドリー”になることが求められているのだと、私なりに解釈しました。
スモールトークの意義を、「場を和ませる」とか「信頼関係を築く」「良好な関係を育む」という視点からとらえると、確かにビジネスパーソンに必要なスキルと言えます。
会議や商談の前、本題に入る前のウォーミングアップとしてのスモールトークは、その日の相手の心理状態を垣間見ることができますし、話すスピードに慣れるためにも効果的だと気付きました。
このような経験を経て、ようやく私はスモールトークのスキルを磨くことを意識し始めたのです。