結論を言うと、これら27社の企業の特徴は、「風通しの良さ」「社員の相互尊重」「20代の成長環境」の圧倒的な高さにあります。その他の企業と比べて、これら3つのスコアがきわめて高いのです。これはとても示唆に富んだ話です。
たとえば、中小企業やスタートアップにとって「待遇を上げること」は容易ではありません。とくに上場前や調達前のスタートアップは資金が大企業に比べて乏しく、経営者が従業員に高待遇を準備できないケースは多くあります。その際、経営者としては何かしらの「代わりとなるもの」を提供する必要が出てきます。
データからは、十分な給与を準備できない際に、経営者がより大切にすべきなのは、次の3つの要素だと結論づけることができます。
①風通しの良さ
②社員の相互尊重
③20代の成長環境
実際、これは私自身が経営者として働いてきた経験とも一致します。昔、パートやアルバイト、学生インターンをマネジメントしていた時期がありましたが、当時私が見ているチームでは、離職率が異常に低く保たれていました(そして雰囲気もとてもよかったのです!)。その際、私が最も大事にしていたのは、まさにこの3つでした。
パート・アルバイトスタッフに対しては、「お互いに対するリスペクトをもてる人だけを選ぶこと」と「なんでも意見を自由に言える環境をつくること」、学生インターンに対しては「成長できること」を大切にしていました。
結局、人が待遇だけを見るか、それ以外の要素も見るかは、人の「期待値(バー)」で決まります。給与が高くても、成長がない仕事を嫌がる人もいるし、その逆もありえるのです。