全日本テコンドー協会の金原昇会長11月27日、検証委員会の聞き取り調査を終え、記者会見する全日本テコンドー協会の金原昇会長(左)と同委の境田正樹委員長 Photo:JIJI

 全日本テコンドー協会の金原昇会長が、検証委員会の勧告を受け入れ、会長を正式に退くことを表明した。

 検証委員会が発足して以降も、金原会長が発案し委任したこの「協会内組織」が公正な判断を下せるのか? 再任のための出来レースではないか? など、臆測と疑念が渦巻いていた。

 しかし、境田正樹委員長をはじめ計4人の検証委員は、金原昇会長再任の道を断ち、新体制への完全移行を提案。金原会長もこれを受け入れた。これは、11月27日に行われた金原会長への3度目のヒアリング後に開かれた記者会見で明らかにされたものだが、会見には境田委員長と金原会長がそろって現れ、初めて2人並んでの会見となった。

 会見場に入ってくる2人の表情は、境田委員長がやや硬め、金原会長の方がリラックスして見えた。果たして、どんな会談になったのか? 検証からほぼ1カ月、報告の期限が迫っているだけに、この日、境田委員長が金原会長に明確な方向性を示すと予想されていた。

 再任を認めるのか、認めないのか。焦点はそこだった。事前の取材から、検証委員会は忖度せず、はっきりと新体制への移行を提言するだろうと予想された。もし金原会長が内心は再任をもくろんでいるとすれば、「話が違う」とちゃぶ台を引っ繰り返す恐れもある。境田委員長も、その心配を片隅に携えているだろうと思われた。

 話の展開次第では決裂もありえる。しかし、心配は杞憂に終わった。

「すがすがしい気持ち」で退任快諾
検証委からの“最大級の評価”が背景か

 午後1時からのヒアリング。約1時間後の2時からは記者会見とアナウンスされていた。ところが、15分近くも早い、午後1時45分すぎ、2人は姿を現した。境田委員長の報告から記者会見は始まった。