インフルエンザシーズンがやって来た。国立感染症研究所による最新の発表(11月27日時点)によれば、2019年第47週(11月18日~11月24日)の全国約5000のインフルエンザ定点医療機関を受診した患者の報告数は1万5390人に上っている。例年よりも流行が早い今年のインフルエンザ対策として、どのような点に気をつければいいのか? 呼吸器内科医で池袋大谷クリニック院長の大谷義夫医師に聞いた。(聞き手/ライター 羽根田真智)
ワクチンは「12月初めまで」が理想だが
1月以降でもリスク低下に効果
――沖縄県では9月の時点で警戒レベルを超えた地域が登場し、休校や学年閉鎖、学級閉鎖に至った小中学校、幼稚園、保育所があると聞きます。今シーズンのインフルエンザは、早くからの警戒が必要なのでしょうか?
池袋大谷クリニック院長。1963年、東京都生まれ。1989年、群馬大学医学部卒業後、九段坂病院内科医長、東京医科歯科大学呼吸器内科医局長、同大学呼吸器内科兼任睡眠制御学講座准教授、米国ミシガン大学留学などを経て、2009年11月に池袋大谷クリニック開院。医学博士、日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医、日本アレルギー学会専門医・指導医、日本内科学会総合内科専門医
確かに今シーズンは沖縄では早くからインフルエンザが流行し始めました。しかし、その後の患者報告数を見ていると、「急速に全国に広がっている」とはいえない状況です。例年通り11月からインフルエンザの流行が始まり、12~3月にピークを迎えると考えていいでしょう。ピークが早いか遅いかを気にするより、私は適切なインフルエンザ対策を適切なタイミングで行うことの方が、より重要だと考えています。
――インフルエンザ対策は、ワクチン接種が大前提ですか?
もちろんです。私は仕事柄、多くのインフルエンザ患者さんに接しますが、記憶にある限り、インフルエンザを発症したことがありません。インフルエンザワクチンを接種していなければ、そうはいかないでしょう。医療関係者は大抵、ワクチンを接種しています。このワクチン接種の時期ですが、理想は11月から12月上旬くらい。接種後すぐに効果が出るわけではなく、2週間後に血中の抗体が上昇するため、11月から12月上旬に接種すれば、ピーク時に備えられます。
とはいっても、「忙しくてワクチン接種をできないまま、ピーク時に突入してしまった」「ピーク時に入り、周囲でインフルエンザ発症者が続々現れ、ワクチン接種をしていないことを後悔した」という人もいるでしょう。ピーク時に入って以降でも、私はワクチン接種をすることをお勧めします。
インフルエンザのピークは3月まで続きます。たとえ1月にワクチン接種をしたとしても、ピークが終了するまでのインフルエンザ発症のリスクを下げられます。