「TOYAMA DOORS」(観光案内)

能作:ありがとうございます。能作の社員がおすすめする飲食店などの観光情報をカードにしたコーナーが人気です。
「好きな場所を選んで持って帰っていただけるように」とカード形式で200種類ほど紹介しています。従業員が3人以上おすすめする場所に限定し、すべて足を運び、社内で手づくりしています。
 また、富山県を型取ったテーブルをスクリーンにした「プロジェクション・マッピング」も楽しめます(黒部ダムやホタルイカなど、富山の観光スポットや名物、祭りなどを投影)。特に、子どもたちは大変興味を持って観てくれています。

年間12万人の原動力!町工場が「産業観光」を事業化する5つの方法

――正面入口付近にあれがあるのはインパクト大ですよね。

能作:おかげさまでお客様からは好評のようです。
 産業観光部の女性社員は、
「新社屋の竣工以降、伝統産業に対する地域の関心が高くなっている」
ことを実感していると言っています。
「見学者が増えたことで、鋳物のこと、能作のこと、富山のことを知っていただく機会が増えたと思います。
 たとえば、学校の授業の一環で見学にきた子どもたちに、『質問はありますか?』と声をかけるとたくさんの手が上がって、『すごく興味を持ってくれている』ことが伝わってきます。
工場見学者の中には、明らかに『興味はないけど、しかたなくきた』のがわかる方もいらっしゃるんです(笑)。
 でも、見学の途中からどんどん表情が変わってきて、『ここは何をするところですか?』と関心を持って質問をいただけたりすると、とても嬉しいですね」(女性社員)

――社員の方々も確実に育ってきていますね。

能作:ありがとうございます。ぜひみなさんに工場見学にきていただきたいです。年間12万人が訪れる富山の本社工場の雰囲気を知りたい方は、第1回連載もご覧いただけたらと思います。

年間12万人の原動力!町工場が「産業観光」を事業化する5つの方法能作克治(のうさく・かつじ) 株式会社能作 代表取締役社長
1958年、福井県生まれ。大阪芸術大学芸術学部写真学科卒。大手新聞社のカメラマンを経て1984年、能作入社。未知なる鋳物現場で18年働く。2002年、株式会社能作代表取締役社長に就任。世界初の「錫100%」の鋳物製造を開始。2017年、13億円の売上のときに16億円を投資し本社屋を新設。2019年、年間12万人の見学者を記録。社長就任時と比較し、社員15倍、見学者数300倍、売上10倍、8年連続10%成長を、営業部なし、社員教育なしで達成。地域と共存共栄しながら利益を上げ続ける仕組みが話題となり、『カンブリア宮殿』(テレビ東京系)など各種メディアで話題となる。これまで見たことがない世界初の錫100%の「曲がる食器」など、能作ならではの斬新な商品群が、大手百貨店や各界のデザイナーなどからも高く評価される。第1回「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」審査委員会特別賞、第1回「三井ゴールデン匠賞」グランプリ、日本鋳造工学会 第1回Castings of the Yearなどを受賞。2016年、藍綬褒章受章。日本橋三越、パレスホテル東京、松屋銀座、コレド室町テラス、ジェイアール 名古屋タカシマヤ、阪急うめだ、大丸心斎橋、大丸神戸、福岡三越、博多阪急、マリエとやま、富山大和などに直営店(2019年9月現在)。1916年創業、従業員160名、国内13・海外3店舗(ニューヨーク、台湾、バンコク)。2019年9月、東京・日本橋に本社を除くと初の路面店(コレド室町テラス店、23坪)がオープン。新社屋は、日本サインデザイン大賞(経済産業大臣賞)、日本インテリアデザイナー協会AWARD大賞、Lighting Design Awards 2019 Workplace Project of the Year(イギリス)、DSA日本空間デザイン賞 銀賞(一般社団法人日本空間デザイン協会)、JCDデザインアワードBEST100(一般社団法人日本商環境デザイン協会)など数々のデザイン賞を受賞。デザイン業界からも注目を集めている。本書が初の著書。
【能作ホームページ】 www.nousaku.co.jp