秋葉原を観光中の外国人観光客。右肩上がりで増え続ける外国人が、日本を疲弊させている(写真はイメージです) Photo:PIXTA

右肩上がりで増加を続ける外国人観光客。そして彼らが巻き起こす混雑、マナー違反、景観破壊といった迷惑な状況を指す言葉が「観光公害」だ。観光公害が拡大を続ける背景には、いまだ「数」に重点を置く日本側の姿勢があると、東洋文化研究者のアレックス・カー氏とジャーナリストの清野由美氏は警鐘を鳴らす――。2人の共著『観光亡国論』(中公新書ラクレ)から、日本が観光公害を乗り越え真の観光立国となるための施策を紹介する(本稿は『観光亡国論』の一部を再編集したものです)。

いまだに「観光客数」を求める
日本の役人たち

カー  日本の役人や企業の担当者が好む観光分析は、相変わらず「数」に重点が置かれたものです。この町に観光客が5万人来ました、目標の10万人を達成しました、来年は100万人を目標にします、などと数を成功の指標としてしまう。イージーな単純計算ですね。

清野  観光が成功するためには、地域の活性化、雇用の改善、ダメージと収入のバランス、そこに住む人と訪れる人の喜びなど、もっといろいろな要素がある。それなのに数だけを指標にしたら、それは観光過剰を呼びますね。

カー  観光誘致における、2つのモデルを比較してみましょう。1つは大型バスやクルーズ船を立ち寄らせて、大勢の観光客を誘致する「大型観光」。もう1つは、個人の観光客にバラバラに来てもらう「小型観光」。

清野  単純計算の考え方をとれば、大勢の観光客が来てくれた方がお金を使ってもらう機会も増えるはずだし望ましい、となりそうですが……。