さらに企業としての先行き不安を如実に示しているのが、現預金の減少だ。6月末に31億0960万円あった残高は、9月末に21億9000万円まで減った。3カ月で10億円が流出しており、このまま手を打たなければ来年3月までに手元資金はほぼ枯渇しかねない。

 もちろん、固定資産の売却や、取引銀行から資金繰り支援の融資を受けることができれば話は別だ。だが、先の審査担当役員は「これだけ長い営業赤字だと、融資基準に引っ掛かり、借り入れができる可能性は極めて低い」と断言する。

 借り入れが困難だとすれば、残る手だてはエクイティファイナンスだ。

 実際、大塚家具は2月に米系投資ファンドと、ハイラインズ日中アライアンスファンドなどを引受先とする第三者割当増資で、38億円の調達を計画した。しかし、ハイラインズが率いるファンドは中国当局の認可を得られないとの理由で、直前になって資金の払い込みをキャンセル。実際に調達できたのは26億円にとどまるという失策を演じた。足元の経営状況は当時と比べても一段と厳しくなっており、さらなる資金の出し手が現れるのは難しい状況だ。

 ある大手証券の幹部は「普通のファンドではもはや応じられないだろう」と分析する。

 理由は株価の低迷と、それに伴う大塚家具株の時価総額と株式売買代金の減少だ。大塚家具株の1日の平均的な売買代金は数千万円から多くても1億円程度。「この時価総額では小型株として見ても小さ過ぎ、また流動性が乏しいので何か起こっても速やかに市場で売却ができない」と前出の証券会社幹部は続ける。

 もはや大塚家具は万事休すの事態に追い込まれている。

 そもそも同社が抱える最大の課題は、売り上げの減少に歯止めがかからない点だ。

 もともと日中のファンドが増資に応じた際の計画では、国内の販売不振を中国での販売拡大で補うという皮算用だった。大塚久美子社長は当時、「本格的に海外に出ていくスタートになる」と大見えを切った。ハイラインズを通じて越境EC(電子商取引)で商品を販売するとともに、中国のリアル店舗への展開を図る方針も示した。しかし、中国向けビジネスは一向に動きだす気配はない。